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June 13, 2024 Vol. 390 No. 22

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CAR-T 細胞療法後の二次性腫瘍と T 細胞リンパ腫のリスク
Risk of Second Tumors and T-Cell Lymphoma after CAR T-Cell Therapy

M.P. Hamilton and Others

背景

キメラ抗原受容体(CAR)T 細胞療法後の二次性腫瘍のリスク,とくにウイルスベクターの組込みに関連する T 細胞腫瘍のリスクについて,懸念が生じている.

方 法

われわれの施設で 2016 年以降に行った CAR-T 細胞による養子免疫療法の臨床経験を再検討し,二次性腫瘍の発生を確認した.二次性 T 細胞リンパ腫の 1 例において,広範な分子解析技術,遺伝子解析技術,細胞解析技術を用いて,腫瘍,CAR-T 細胞,正常造血細胞を調べた.

結 果

われわれの施設で T 細胞療法を受けた 724 例を研究に組み入れた.びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫に対してアキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)療法を受けた 1 例に,致死的 T 細胞リンパ腫が発見され,両リンパ腫の詳細なプロファイリングを行った.各リンパ腫は,免疫表現型とゲノムプロファイルが分子的に異なっていたが,いずれも EB ウイルス陽性であり,クローン性造血と関連する DNMT3A 変異と TET2 変異を有していた.さまざまな技術を用いたものの,レトロウイルスの組込みの発癌性を示す所見は認められなかった.

結 論

われわれの結果は,二次性腫瘍の頻度は低いことを明瞭に示し,クローンとの関係の明確化とウイルスベクターのモニタリングのための枠組みを提供している.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 2047 - 60. )