2 型炎症の血中好酸球の所見を伴う慢性閉塞性肺疾患に対するデュピルマブ
Dupilumab for COPD with Blood Eosinophil Evidence of Type 2 Inflammation
S.P. Bhatt and Others
デュピルマブは,2 型炎症の重要かつ中心的な促進因子であるインターロイキン-4 とインターロイキン-13 の共通サブユニットを阻害する,完全ヒトモノクローナル抗体であり,慢性閉塞性肺疾患(COPD)と 2 型炎症を有する,増悪リスクの高い患者を対象とした第 3 相試験で,有効性と安全性が示されている.この知見が,2 件目の第 3 相試験で確認されるかは明らかでない.
第 3 相二重盲検無作為化試験で,血中好酸球数 300/μL 以上の COPD 患者を,デュピルマブ(300 mg)を 2 週ごとに皮下投与する群と,プラセボを投与する群に割り付けた.主要エンドポイントは,中等度または重度の増悪の年間発生率とした.重要な副次的エンドポイントは,12 週と 52 週の時点での気管支拡張薬吸入前の 1 秒量(FEV1)のベースラインからの変化量,52 週の時点でのセントジョージ呼吸器質問票(SGRQ;0~100 で,数値が低いほど QOL が良好であることを示す)の総スコアのベースラインからの変化量などとし,多重性を補正するために階層的に解析した.
935 例が無作為化され,470 例がデュピルマブ群,465 例がプラセボ群に割り付けられた.事前に規定したとおり,中間解析で肯定的な結果が得られたあとに主要解析を行い,935 例の,入手しえたすべてのデータを使用した.52 週の時点の解析は 721 例を対象とした.中等度または重度の増悪の年間発生率は,デュピルマブ群 0.86(95%信頼区間 [CI] 0.70~1.06),プラセボ群 1.30(95% CI 1.05~1.60)であり,プラセボ群に対する率比は 0.66(95% CI 0.54~0.82)であった(P<0.001).気管支拡張薬吸入前の FEV1 は,ベースラインから 12 週までに,デュピルマブ群(変化量の最小二乗平均値 139 mL [95% CI 105~173])ではプラセボ群(変化量の最小二乗平均値 57 mL [95% CI 23~91])と比較して増加し,最小二乗平均差は 12 週の時点で 82 mL(P<0.001),52 週の時点で 62 mL(P=0.02)と有意であった.SGRQ スコアのベースラインから 52 週までの変化量に,群間で有意差は認められなかった.有害事象の発現率は 2 群で同程度であり,デュピルマブの確立されたプロファイルと一致していた.
血中好酸球数の増加に示される 2 型炎症を伴う COPD 患者において,デュピルマブは,プラセボと比較して増悪が少なく,肺機能が良好であることと関連した.(サノフィ社,リジェネロンファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.NOTUS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04456673)