January 25, 2024 Vol. 390 No. 4
多発性骨髄腫に対するダラツムマブ,ボルテゾミブ,レナリドミド,デキサメタゾンの併用
Daratumumab, Bortezomib, Lenalidomide, and Dexamethasone for Multiple Myeloma
P. Sonneveld and Others
CD38 を標的とするモノクローナル抗体であるダラツムマブは,骨髄腫の標準レジメンとの併用が承認されている.新たに多発性骨髄腫と診断された移植適応患者の治療において,ボルテゾミブ,レナリドミド,デキサメタゾン(VRd)と併用するダラツムマブ皮下投与の評価が必要である.
第 3 相試験で,新たに多発性骨髄腫と診断された移植適応患者 709 例を,ダラツムマブ皮下投与を VRd 寛解導入療法・地固め療法およびレナリドミド維持療法と併用する群(D-VRd 群)と,VRd 寛解導入療法・地固め療法およびレナリドミド維持療法のみを行う群(VRd 群)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無増悪生存とした.重要な副次的エンドポイントは,完全奏効以上,微小残存病変(MRD)陰性などとした.
追跡期間中央値 47.5 ヵ月の時点で,病勢進行または死亡のリスクは,D-VRd 群のほうが VRd 群よりも低かった.48 ヵ月の時点での無増悪生存割合の推定値は,D-VRd 群 84.3%,VRd 群 67.7%であり(病勢進行または死亡のハザード比 0.42,95%信頼区間 0.30~0.59,P<0.001),P 値は事前に規定した中止基準(P=0.0126)を超えた.完全奏効以上の割合は,D-VRd 群のほうが VRd 群よりも高く(87.9% 対 70.1%,P<0.001),MRD 陰性割合も同様であった(75.2% 対 47.5%,P<0.001).死亡は,D-VRd 群では 34 例,VRd 群では 44 例に発生した.グレード 3 または 4 の有害事象は,両群の大部分の患者に発現し,とくに頻度が高かったのは好中球減少症(D-VRd 群 62.1%,VRd 群 51.0%)と血小板減少症(それぞれ 29.1%,17.3%)であった.重篤な有害事象は,D-VRd 群の 57.0%と VRd 群の 49.3%に発現した.
新たに多発性骨髄腫と診断された移植適応患者において,VRd 寛解導入療法・地固め療法およびレナリドミド維持療法へのダラツムマブ皮下投与の追加は,無増悪生存に関して有意な利益をもたらした.(ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント社と共同した欧州骨髄腫ネットワークから研究助成を受けた.PERSEUS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03710603,EudraCT 登録番号 2018-002992-16)