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February 15, 2024 Vol. 390 No. 7

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多発性硬化症における CD40L のフレキサリマブによる阻害
Inhibition of CD40L with Frexalimab in Multiple Sclerosis

P. Vermersch and Others

背景

CD40–CD40L 共刺激経路は,獲得免疫応答と自然免疫応答を制御するものであり,多発性硬化症の発症機序に関与することが示唆されている.フレキサリマブ(frexalimab)は,多発性硬化症の治療薬として評価中の第二世代抗 CD40L モノクローナル抗体である.

方 法

第 2 相二重盲検無作為化試験で,再発性多発性硬化症患者を,フレキサリマブ 1,200 mg(負荷投与量 1,800 mg)の静脈内投与を 4 週ごとに行う群,フレキサリマブ 300 mg(負荷投与量 600 mg)の皮下投与を 2 週ごとに行う群,それぞれと同じ外観のプラセボの投与を行う 2 群に,4:4:1:1 の割合で割り付けた.主要エンドポイントは,12 週時の T1 強調 MRI 上の,8 週時との比較における新規のガドリニウム増強病変数とした.副次的エンドポイントは,12 週時の T2 強調 MRI 上の,8 週時との比較における新規病変数・拡大病変数,12 週時の T1 強調 MRI 上のガドリニウム増強病変の総数,安全性などとした.12 週よりあとは,非盲検として全例にフレキサリマブ投与を可能とした.

結 果

スクリーニングを受けた 166 例のうち,129 例がいずれかの群に割り付けられ,125 例(97%)が 12 週間の二重盲検期を完了した.参加者の平均年齢は 36.6 歳で,66%が女性であり,30%がベースライン時にガドリニウム増強病変を有していた.12 週時の T1 強調 MRI 上の新規のガドリニウム増強病変数の補正平均値は,フレキサリマブ 1,200 mg 静脈内投与群では 0.2(95%信頼区間 [CI] 0.1~0.4),フレキサリマブ 300 mg 皮下投与群では 0.3(95% CI 0.1~0.6)であったのに対し,プラセボ統合群では 1.4(95% CI 0.6~3.0)であった.1,200 mg 群のプラセボ群に対する率比は 0.11(95% CI 0.03~0.38),300 mg 群は 0.21(95% CI 0.08~0.56)であった.画像に関する副次的エンドポイントの結果は,主要解析の結果とおおむね同様の傾向であった.とくに頻度の高かった有害事象は,新型コロナウイルス感染症と頭痛であった.

結 論

多発性硬化症患者を対象とした第 2 相試験において,フレキサリマブによる CD40L の阻害には,12 週時の T1 強調 MRI 上の新規のガドリニウム増強病変数がプラセボよりも減少することを全体的に支持する作用があった.多発性硬化症患者におけるフレキサリマブの長期的な有効性と安全性を明らかにするためには,より大規模かつ長期の試験が必要である.(サノフィ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04879628)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 589 - 600. )