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February 15, 2024 Vol. 390 No. 7

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複雑性尿路感染症に対するセフェピム・タニボルバクタム
Cefepime–Taniborbactam in Complicated Urinary Tract Infection

F.M. Wagenlehner and Others

背景

カルバペネム耐性腸内細菌目細菌の菌種と多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は,世界的な健康上の脅威である.セフェピム・タニボルバクタム(taniborbactam)は,β-ラクタム系薬にβ-ラクタマーゼ阻害薬を配合した開発中の薬剤であり,セリンβ-ラクタマーゼとメタロβ-ラクタマーゼを発現する腸内細菌目細菌の菌種および緑膿菌に活性を有することが示されている.

方 法

第 3 相二重盲検無作為化試験で,急性腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症(UTI)で入院中の成人を,セフェピム・タニボルバクタム(2.5 g)を 8 時間ごとに 7 日間静脈内投与する群と,メロペネム(1 g)を 8 時間ごとに 7 日間静脈内投与する群に 2:1 の割合で割り付けた.菌血症の場合は,最長 14 日間投与可能とした.主要転帰は,微生物学的 intention-to-treat(microITT)集団(両試験薬が活性を示す,特定のグラム陰性病原菌を保有していた患者)における試験 19~23 日目の微生物学的成功と臨床的成功の両方(複合成功)とした.主要転帰の優越性解析は,非劣性が確認された場合に行うよう事前に規定した.

結 果

無作為化された 661 例のうち,microITT 集団は 436 例(66.0%)であった.患者の平均年齢は 56.2 歳,38.1%は 65 歳以上であった.microITT 集団では,患者の 57.8%が複雑性 UTI,42.2%が急性腎盂腎炎,13.1%が菌血症を有していた.複合成功は,セフェピム・タニボルバクタム群では 293 例中 207 例(70.6%)で得られ,メロペネム群では 143 例中 83 例(58.0%)で得られた.主要転帰に関して,セフェピム・タニボルバクタムのメロペネムに対する優越性が示された(治療差 12.6 パーセントポイント,95%信頼区間 3.1~22.2,P=0.009).治療反応の差はその後の追跡時(試験 28~35 日目)にも持続しており,セフェピム・タニボルバクタムのほうが複合成功割合と臨床的成功割合が高かった.有害事象はセフェピム・タニボルバクタム群の 35.5%とメロペネム群の 29.0%に発現し,頭痛,下痢,便秘,高血圧,悪心の頻度がとくに高かった.重篤な有害事象の頻度は 2 群で同程度であった.

結 論

セフェピム・タニボルバクタムは,急性腎盂腎炎を含む複雑性 UTI の治療において,メロペネムに対する優越性を示し,安全性プロファイルはメロペネムと同様であった.(ベナトルクス ファーマシューティカルズ社ほかから研究助成を受けた.CERTAIN-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03840148)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 611 - 22. )