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February 29, 2024 Vol. 390 No. 9

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低リスク子宮頸癌の女性に対する単純子宮摘出術と広汎子宮全摘術との比較
Simple versus Radical Hysterectomy in Women with Low-Risk Cervical Cancer

M. Plante and Others

背景

早期低リスク子宮頸癌患者では,子宮傍組織浸潤の発生率が低いことが後ろ向きデータから示唆されており,広汎子宮全摘術の必要性について疑問が提起されている.しかし,広汎子宮全摘術と単純子宮摘出術とで転帰を比較した大規模無作為化試験のデータはない.

方 法

低リスク子宮頸癌(腫瘍径 2 cm 以下,間質浸潤 10 mm 未満)患者を対象に,広汎子宮全摘術と単純子宮摘出術とを比較する多施設共同無作為化非劣性試験を行った.両術式でリンパ節の評価も行った.主要転帰は,3 年の時点での骨盤領域における癌の再発(骨盤内再発)とした.3 年骨盤内再発率における群間差の非劣性マージンを 4 パーセントポイントと事前に規定した.

結 果

無作為化された 700 例(各群 350 例)のうち,大多数が 2009 年国際産婦人科連合(FIGO)分類 IB1 期の腫瘍を有し(91.7%),扁平上皮細胞の組織学的特徴をもつ腫瘍を有し(61.7%),グレード 1 または 2 の腫瘍を有していた(59.3%).追跡期間の中央値は 4.5 年で,3 年骨盤内再発率は,広汎子宮全摘術群 2.17%,単純子宮摘出術群 2.52%であった(絶対差 0.35 パーセントポイント,90%信頼区間 -1.62~2.32).per-protocol 解析でも結果は同様であった.尿失禁の発生率は,単純子宮摘出術群のほうが,広汎子宮全摘術群よりも術後 4 週間以内は低く(2.4% 対 5.5%,P=0.048),4 週間を経過後も低かった(4.7% 対 11.0%,P=0.003).尿閉の発生率も,単純子宮摘出術群のほうが,広汎子宮全摘術群よりも術後 4 週間以内は低く(0.6% 対 11.0%,P<0.001),4 週間を経過後も低かった(0.6% 対 9.9%,P<0.001).

結 論

低リスク子宮頸癌患者において,単純子宮摘出術は,3 年骨盤内再発率に関して,広汎子宮全摘術に対して非劣性を示し,尿失禁および尿閉のリスクがより低いことと関連していた.(カナダがん協会ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01658930)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 819 - 29. )