好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に対するベンラリズマブとメポリズマブとの比較
Benralizumab versus Mepolizumab for Eosinophilic Granulomatosis with Polyangiitis
M.E. Wechsler and Others
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は,好酸球性炎症を特徴とする血管炎である.好酸球に発現しているインターロイキン-5α受容体に対するモノクローナル抗体であるベンラリズマブは,EGPA の治療選択肢となる可能性がある.
ベンラリズマブの有効性と安全性を,メポリズマブと比較評価する多施設共同二重盲検第 3 相無作為化実薬対照非劣性試験を行った.標準治療を受けている再発性または難治性 EGPA の成人を,ベンラリズマブ(30 mg)群とメポリズマブ(300 mg)群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,4 週に 1 回の皮下投与を 52 週間行った.主要エンドポイントは,36 週と 48 週の時点での寛解とした(事前に規定した非劣性マージンは -25 パーセントポイント).副次的エンドポイントは,寛解期間,初回再発までの期間,経口グルココルチコイドの使用,好酸球数,安全性などとした.
140 例が無作為化された(各群 70 例).36 週と 48 週の時点で寛解が得られた患者の補正割合は,ベンラリズマブ群 59%,メポリズマブ群 56%であり(差 3 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -13~18,優越性の P=0.73),ベンラリズマブのメポリズマブに対する非劣性が示されたが,優越性は示されなかった.寛解期間と初回再発までの期間は,2 群で同程度であった.48 週~52 週に経口グルココルチコイドの完全中止を達成した患者は,ベンラリズマブ投与を受けた患者の 41%,メポリズマブ投与を受けた患者の 26%であった.血中好酸球数の平均値(±SD)は,ベースライン時にはベンラリズマブ群で 306.0±225.0/μL,メポリズマブ群で 384.9±563.6/μL であったのが,52 週の時点でそれぞれ 32.4±40.8/μL,71.8±54.4/μL に減少した.有害事象はベンラリズマブ群の 90%とメポリズマブ群の 96%に発現し,重篤な有害事象はそれぞれ 6%と 13%に発現した.
再発性または難治性 EGPA 患者において,ベンラリズマブは,寛解導入に関してメポリズマブに対する非劣性を示した.(アストラゼネカ社から研究助成を受けた.MANDARA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04157348)