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July 18, 2024 Vol. 391 No. 3

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発症後 4.5~24 時間の脳梗塞に対する血栓除去術なしでのテネクテプラーゼ投与
Tenecteplase for Ischemic Stroke at 4.5 to 24 Hours without Thrombectomy

Y. Xiong and Others

背景

テネクテプラーゼ(tenecteplase)は,脳梗塞発症後 4.5 時間以内に適格患者に投与された場合に,有効な血栓溶解薬である.しかし,4.5 時間を経過後の有効性に関するデータは限られている.

方 法

中国で行われた試験で,中大脳動脈または内頸動脈の脳主幹動脈閉塞による脳梗塞を発症し,灌流画像上救済可能な脳組織を認める,血管内血栓除去術へのアクセスが困難であった患者(起床時発症脳梗塞例と発症時刻不明脳梗塞例を含む)を,最終健常確認時刻から 4.5~24 時間後にテネクテプラーゼ(0.25 mg/kg 体重,最大 25 mg)を投与する群と,標準的な内科的治療を行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は 90 日の時点で障害がないこととし,修正ランキンスケール(0~6 で,数値が高いほど障害が重度であることを示す)0 または 1 と定義した.症候性頭蓋内出血と死亡を重要な安全性転帰とした.

結 果

計 516 例が組み入れられ,264 例がテネクテプラーゼ群,252 例が標準治療群に無作為に割り付けられた.2%弱(テネクテプラーゼ群 4 例,標準治療群 5 例)がレスキュー治療として血管内血栓除去術を受けた.90 日の時点で修正ランキンスケール 0 または 1 であった患者の割合は,テネクテプラーゼ投与群のほうが標準治療群よりも高かった(33.0% 対 24.2%,相対率 1.37,95%信頼区間 1.04~1.81,P=0.03).90 日死亡率はテネクテプラーゼ群 13.3%,標準治療群 13.1%であり,治療後 36 時間以内の症候性頭蓋内出血の発現率は,それぞれ 3.0%と 0.8%であった.

結 論

脳主幹動脈閉塞による脳梗塞を発症した中国人患者(大部分が血管内血栓除去術へのアクセスが困難であった)を対象とした試験で,発症後 4.5~24 時間にテネクテプラーゼを投与した場合,標準的な内科的治療と比較して,障害は軽度,生存率は同程度となったが,症候性頭蓋内出血の発現率は高いと思われた.(中国国家自然科学基金委員会ほかから研究助成を受けた.TRACE-III 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05141305)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 391 : 203 - 12. )