結核菌感染の予防を目的とした BCG ワクチン再接種
BCG Revaccination for the Prevention of Mycobacterium tuberculosis Infection
A.C. Schmidt and Others
先行する第 2 相試験では,カルメット–ゲラン菌(BCG)ワクチンの再接種は,結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の初回感染に対する防御効果を示さなかった.しかし,QuantiFERON-TB(QFT)検査(インターフェロンγ遊離アッセイ)の初回で陽転を認めたあと,3 ヵ月と 6 ヵ月の時点での追加検査でいずれも陽性であることと定義した持続感染(副次的評価項目)を予防し,ワクチン有効率は 45%(95%信頼区間 [CI] 6~68)であった.
QFT 陰性,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陰性の思春期児を対象に,QFT 陽転持続(主要評価項目)の予防における BCG ワクチン再接種の有効性を,プラセボと比較評価する第 2b 相二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.副次的解析で有害事象を評価し,探索的解析で免疫原性を評価した.ワクチン有効率は修正 intention-to-treat 集団で評価した.この集団は,無作為化され,BCG ワクチンまたはプラセボの接種を受け,接種後 10 週の時点で QFT 陰性であった全例とし,3 つ目の基準は,ワクチンまたはプラセボの接種の前後に結核菌に感染していた参加者を除外するために追加した.層別化 Cox 比例ハザードモデルを用いて,ハザード比と 95% CI を推定した.
1,836 例が無作為化され,918 例が BCG ワクチンの接種,917 例がプラセボの接種を受けた.追跡期間中央値 30 ヵ月の時点で,QFT 陽転持続は,BCG ワクチン群では 871 例中 62 例に認められ,プラセボ群では 849 例中 59 例に認められた.QFT 陽転持続のハザード比(BCG ワクチン 対 プラセボ)は 1.04(95% CI 0.73~1.48)であり,ワクチン有効率の点推定値は -3.8%(95% CI -48.3~27.4)であった.有害事象の頻度は BCG ワクチン群のほうがプラセボ群よりも高く,大部分が注射部位反応(疼痛,発赤,腫脹,潰瘍)であった.BCG ワクチン再接種は,サイトカイン陽性の 1 型 CD4 ヘルパー T 細胞を誘導した.
QFT 陰性,HIV 陰性の思春期児に対する BCG ワクチンの再接種は,結核菌の持続感染に対する防御効果を示さなかった.(ゲイツ財団から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04152161)