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May 29, 2025 Vol. 392 No. 20

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巨細胞性動脈炎に対するウパダシチニブの第 3 相試験
A Phase 3 Trial of Upadacitinib for Giant-Cell Arteritis

D. Blockmans and Others

背景

巨細胞性動脈炎は全身性血管炎の一つであり,治療選択肢が限られている.ウパダシチニブは,インターロイキン-6 やインターフェロンγなどの,複数のサイトカインのシグナル伝達を遮断する選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬である.巨細胞性動脈炎患者における有効性と安全性はわかっていない.

方 法

巨細胞性動脈炎の新規発症患者または再発患者を,ウパダシチニブ 15 mg を 1 日 1 回経口投与し,グルココルチコイドを 26 週間で漸減する群,ウパダシチニブ 7.5 mg を 1 日 1 回経口投与し,グルココルチコイドを 26 週間で漸減する群,プラセボを投与し,グルココルチコイドを 52 週間で漸減する群に,2:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は 52 週の時点での寛解維持とし,12 週~52 週の期間に巨細胞性動脈炎の徴候・症状がなく,試験実施計画書に規定されたグルココルチコイド漸減を遵守していることと定義した.

結 果

209 例がウパダシチニブ 15 mg の投与を受け,107 例がウパダシチニブ 7.5 mg の投与を受け,112 例がプラセボの投与を受けた.患者の約 70%が巨細胞性動脈炎の新規発症例であった.ウパダシチニブ 15 mg は,主要評価項目に関して,プラセボに対する優越性を示した(46.4% [95%信頼区間 {CI} 39.6~53.2] 対 29.0% [95% CI 20.6~37.5],P=0.002).ウパダシチニブ 15 mg は,重要な副次的評価項目である,完全寛解の維持,疾患再燃までの期間,グルココルチコイドへの累積曝露量,患者報告アウトカムに関しても,多重性を調整した階層的検定においてプラセボに対する優越性を示した.ウパダシチニブ 7.5 mg は,主要評価項目に関して,プラセボに対する優越性を示さなかった(41.1% [95% CI 31.8~50.4]).52 週の投与期間中の安全性転帰は,ウパダシチニブ群とプラセボ群とで同程度であった.JAK 阻害薬では心血管リスクが懸念されることがあるが,ウパダシチニブ群で主要有害心血管イベントは発生しなかった.

結 論

巨細胞性動脈炎患者において,ウパダシチニブ 15 mg の投与+グルココルチコイドの 26 週間での漸減は,有効性に関して,プラセボの投与+グルココルチコイドの 52 週間での漸減に対する優越性を示したが,ウパダシチニブ 7.5 mg の投与は優越性を示さなかった.(アッヴィ社から研究助成を受けた.SELECT-GCA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03725202)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 392 : 2013 - 24. )