胃癌と食道胃接合部癌に対する周術期デュルバルマブ投与
Perioperative Durvalumab in Gastric and Gastroesophageal Junction Cancer
Y.Y. Janjigian and Others
周術期 FLOT(フルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン+ドセタキセル)療法は,切除可能な胃腺癌・食道胃接合部腺癌に対する標準治療であるが,再発率は依然として高い.免疫療法と化学療法の併用により,転帰が改善する可能性がある.
第 3 相国際共同二重盲検無作為化試験で,切除可能な胃腺癌・食道胃接合部腺癌を有する参加者を,デュルバルマブ 1,500 mg の 4 週ごと投与+FLOT の 2 週ごと投与を 4 サイクル(術前 2 サイクル,術後 2 サイクル),その後デュルバルマブの 4 週ごと投与を 10 サイクル行う群と,プラセボ投与+FLOT 療法を 4 サイクル,その後プラセボ投与を 10 サイクル行う群に,1:1 の割合で割り付けた.主要評価項目は無イベント生存とし,副次的評価項目は全生存,病理学的完全奏効などとした.
474 例がデュルバルマブ群,474 例がプラセボ群に無作為に割り付けられた(追跡期間中央値 31.5 ヵ月,四分位範囲 26.7~36.6).2 年無イベント生存率(Kaplan–Meier 推定値)は,デュルバルマブ群 67.4%,プラセボ群 58.5%であった(イベントまたは死亡のハザード比 0.71,95%信頼区間 [CI] 0.58~0.86,P<0.001).2 年全生存率は,デュルバルマブ群 75.7%,プラセボ群 70.4%であった(死亡の期間別ハザード比:0~12 ヵ月目 0.99 [95% CI 0.70~1.39],12 ヵ月目以降 0.67 [95% CI 0.50~0.90];層別化 log-rank 検定で P=0.03 [有意水準の閾値 P<0.0001 を超えた]).病理学的完全奏効割合は,デュルバルマブ群 19.2%,プラセボ群 7.2%であった(相対リスク 2.69 [95% CI 1.86~3.90]).最高グレードが 3 または 4 であった有害事象は,デュルバルマブ群の 340 例(71.6%)とプラセボ群の 334 例(71.2%)で報告された.手術が遅延した参加者の割合はそれぞれ 10.1%と 10.8%であり,術後補助療法開始が遅延した参加者の割合は 2.3%と 4.6%であった.
切除可能な胃腺癌・食道胃接合部腺癌を有する参加者において,周術期のデュルバルマブ投与+FLOT 療法により,FLOT 療法のみと比較して,無イベント生存転帰が有意に改善した.(アストラゼネカ社から研究助成を受けた.MATTERHORN 試験 ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04592913)