慢性腎臓病と 2 型糖尿病に対するフィネレノン+エンパグリフロジン
Finerenone with Empagliflozin in Chronic Kidney Disease and Type 2 Diabetes
R. Agarwal and Others
慢性腎臓病と 2 型糖尿病を有する患者に対して,ナトリウム–グルコース共輸送体 2(SGLT2)阻害薬と非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬フィネレノンの投与を,同時に開始することを支持するエビデンスは限られている.
慢性腎臓病(推算糸球体濾過量 [eGFR] 30~90 mL/分/1.73 m2 体表面積),アルブミン尿(尿中アルブミン/クレアチニン比 [mg/g クレアチニン] 100~5,000 以下),2 型糖尿病を有し,すでにレニン–アンジオテンシン系阻害薬を服用している参加者を,フィネレノン 10 mg/日または 20 mg/日(+エンパグリフロジンにマッチさせたプラセボ)を投与する群,エンパグリフロジン 10 mg/日(+フィネレノンにマッチさせたプラセボ)を投与する群,フィネレノンとエンパグリフロジンを併用する群に 1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,対数変換した尿中アルブミン/クレアチニン比の平均値の,ベースラインから 180 日目までの相対変化量とした.安全性を評価した.
ベースライン時の尿中アルブミン/クレアチニン比は 3 群で同程度であり,データを入手しえた参加者(併用療法群 265 例,フィネレノン群 258 例,エンパグリフロジン群 261 例)における中央値は 579(四分位範囲 292~1,092)であった.180 日の時点で,併用療法での尿中アルブミン/クレアチニン比の低下は,フィネレノン単独よりも 29%大きく(ベースラインからの変化量の差の最小二乗平均比 0.71,95%信頼区間 [CI] 0.61~0.82,P<0.001),エンパグリフロジン単独よりも 32%大きかった(ベースラインからの変化量の差の最小二乗平均比 0.68,95% CI 0.59~0.79,P<0.001).フィネレノンとエンパグリフロジンは,単独でも併用でも,予期せぬ有害事象を引き起こさなかった.症候性低血圧,急性腎障害,投与中止にいたった高カリウム血症の頻度は低かった.
慢性腎臓病と 2 型糖尿病の両方を有する患者に,フィネレノンとエンパグリフロジンの併用による初期治療を行った場合,それぞれを単独で投与した場合よりも,尿中アルブミン/クレアチニン比の低下が大きかった.(バイエル社から研究助成を受けた.CONFIDENCE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05254002)