The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 8, 2001
Vol. 344 No. 6

  • 冠動脈バイパス術後の神経認知機能
    Neurocognitive Function after Coronary-Artery Bypass Surgery

    冠動脈バイパス移植(CABG)の術後には,とりわけ高齢患者において,認知機能の低下が多くみられる.CABG を行った患者 261 例に関する今回の研究では,退院時における認知機能低下の発生率は 53%であった.この発生率は,6 ヵ月の時点では約 25%に低下したが,5 年後には 40%強にもどった.退院時における認知機能の低下が,長期の認知機能低下の予測因子であった.
    バイパス術は高齢患者に行われることが多いので,術後の認知機能低下の問題は重要である.術後すぐに認知機能が低下した患者は,長期の認知機能低下のリスクが高い.予防的介入が必要である.

    • 肺炎球菌結合ワクチンによる急性中耳炎の予防
      A Pneumococcal Conjugate Vaccine to Prevent Acute Otitis Media

      肺炎球菌結合ワクチンによる急性中耳炎の予防

      この無作為試験では,1,662 例の小児が,肺炎球菌に対する 7 価の多糖体結合ワクチンか,または対照としての B 型肝炎ワクチンか,いずれかの接種を受けた.2 歳までの急性中耳炎の頻度は,対照群と比べて 6%しか低下しなかった.しかしながら,肺炎球菌による急性中耳炎は 34%減少し,ワクチンに含有されていた血清型による中耳炎は 57%減少した.
      この結合ワクチンは,有効で,忍容性に優れている.診断は,中耳浸出液の培養によって確認された.中耳炎の頻度を考慮すると,発生件数の一部分でも予防すれば,相当な有益性があるであろう.

      • 超音波検査による腎動脈狭窄症の治療転帰の予測
        Ultrasonography to Predict the Outcome of Therapy for Renal-Artery Stenosis

        この研究では,高血圧と腎動脈狭窄を伴う患者を対象に,超音波ドップラー法によって腎区域動脈における血流抵抗を測定し,血行再建の転帰を予測する上での有用性を評価した.患者 131 例のうち,抵抗指数の値が 80 以上の患者では,血圧が改善したのは 3%のみで,腎機能は 80%で低下した.一方,抵抗指数が 80 未満の患者では,94%で血圧が改善し,腎機能が低下したのは 3%のみだった.
        高血圧と腎動脈狭窄を伴う患者には,血行再建術に反応する例もあれば,反応しない例もある.腎動脈抵抗指数の測定は,血行再建術が有益な患者とそうでない患者を区別するための,比較的簡便で非侵襲的な方法となり得る.

        • 慢性膵炎による総胆管狭窄症の患者における,胆道ドレナージ後の肝線維症の改善
          Regression of Fibrosis after Biliary Drainage in Patients with Stenosis of the Common Bile Duct Due to Chronic Pancreatitis

          慢性膵炎による総胆管狭窄症の患者における,胆道ドレナージ後の肝線維症の改善

          総胆管の慢性閉塞を有する患者では,肝繊維症と二次性胆汁性肝硬変が生ずる場合がある.慢性膵炎による慢性の総胆管閉塞症の患者 11 例に関するこの研究では,胆道ドレナージ後に肝繊維症が改善し得るか否かという問題を検討した.胆管吻合部に再狭窄を認めた 2 例を除外した分析では,肝繊維症の有意な退縮が,胆道減圧後に認められた.
          慢性膵炎と総胆管狭窄を伴う患者では,胆道ドレナージ後に,肝繊維症が改善する可能性がある.著者が指摘するように,本研究の対象となった患者が,肝繊維症の患者全体を代表しているとは限らない.とはいえ,今回の知見は,肝繊維症が状況によって可逆的であり得るという見解を支持する.

          • メタノール中毒に対するフォメピゾール
            Fomepizole for Methanol Poisoning

            メタノール中毒は,重度の代謝異常,失明,および死亡にいたる場合がある.メタノール中毒の治療として,メタノールから有毒な代謝産物への代謝を抑制することが必要になる.この研究では,メタノール中毒の患者 11 例を対象に,メタノール代謝の阻害剤であるフォメピゾールの効果を評価した.この薬剤は,メタノールの代謝抑制に有効で,中毒に伴う代謝性アシドーシスを改善した.9 例の患者が生存し,このうちメタノール関連の視力障害を認めた例はなかった.
            フォメピゾールは,アルコール脱水素酵素を阻害するが,このアルコール脱水素酵素は,アルコールからホルムアルデヒドへの変化を触媒する.続いてホルムアルデヒドは,ホルムアルデヒド脱水素酵素の作用によって,蟻酸に変化する.この薬剤は,メタノール中毒に対する標準的治療薬となるべきである.

            • 医学の進歩:腎動脈狭窄症
              Medical Progress: Renal-Artery Stenosis

              医学の進歩:腎動脈狭窄症

              この総説では,二種類の一般的な腎動脈疾患である,動脈硬化性腎動脈狭窄症と,線維筋性形成異常について論じている.これらの疾患は,高血圧症と虚血性腎症という二つの臨床症候群に関連する.著者らは,病態発生,臨床的側面,診断,および血行再建術の適応を含めた治療手段について概説している.