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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 2, 2001
Vol. 345 No. 5

ORIGINAL ARTICLE

  • 側頭葉てんかんに対する手術の無作為比較対照試験
    A Randomized, Controlled Trial of Surgery for Temporal-Lobe Epilepsy

    側頭葉てんかんに対する手術の無作為比較対照試験

    側頭葉てんかんに対する外科治療の適応の是非と時期に関して,意見が分かれている.側頭葉てんかんに対する手術と長期薬物治療を比較したこの無作為比較臨床試験は,外科治療の優位性を支持する結果であった.術後 1 年の時点で,複雑性部分発作と全身性発作が生じなかったのは,外科治療群の患者では 58%であったのに対して,薬物治療群の患者では 8%であった.また,QOL も外科治療群のほうが有意に優れていた.
    側頭葉てんかんの治療には課題が多く,外科治療についても論争が続いている.不必要な障害を回避するためにも,管理不十分な側頭葉てんかん患者を慎重に選択し,手術の可能性を評価すべきであることをこの研究は示唆している.

  • 原発性肺高血圧症の一因としての骨形成因子受容体 II 遺伝子の突然変異
    Mutations in the Gene for Bone Morphogenetic Protein Receptor II as a Cause of Primary Pulmonary Hypertension

    原発性肺高血圧症の一因としての骨形成因子受容体 II 遺伝子の突然変異

    家族性原発性肺高血圧症の頻度は低いと考えられている.この研究は,当初無関係と思われていた 5 家系を一つにつなげる,大きな一族の存在を明らかにした.この家系の 18 例が,肺高血圧症であった.この疾患に罹患した構成員 6 例と,保因者と思われた構成員 6 例の遺伝子型を分析したころ,骨形成因子受容体 II 遺伝子の同一ミスセンス突然変異を,全例に認めた.
    肺高血圧症は,これまでに考えられていた以上に家族性の頻度が高く,骨形成因子受容体 II をコードする遺伝子の突然変異が重要な原因かもしれない.骨形成因子には,肺血管の増殖抑制作用があり,突然変異による受容体の変化が,こうした作用を減弱させている可能性がある.

  • 遺伝性出血性毛細管拡張症の患者における肺高血圧症
    Pulmonary Hypertension in Patients with Hereditary Hemorrhagic Telangiectasia

    遺伝性出血性毛細管拡張症の患者における肺高血圧症

    遺伝性出血性毛細管拡張症の患者に,原発性肺高血圧症と鑑別しがたい肺疾患が生ずることがある.この研究は,遺伝性出血性毛細管拡張症にも関連する,アクチビン受容体様キナーゼ 1 をコードする遺伝子の突然変異が,これらの肺疾患にも関与しうることを発見した.
    これらの知見は,肺高血圧症の分子的基盤にさらなる洞察を与えるものである.アクチビン受容体様キナーゼ 1 をコードする遺伝子の突然変異は,遺伝性出血性毛細管拡張症の特徴である血管拡張や,原発性肺高血圧症の特徴である肺小動脈の閉塞など,多様な作用をもたらすものと思われる.

  • シュードモナス属によるホットフット症候群
    The Pseudomonas Hot-Foot Syndrome

    シュードモナス属によるホットフット症候群

    カナダ・アルバータ州の小児 40 例が,足底部に疼痛を伴う紅斑性結節で受診した.全例が,皮膚病変の発症前 2 日以内に,同一の地域の水遊び場を利用していた.足底部の病変は,患者のほぼ全例で,対症療法により消失した.1 例の足底部膿疱から採取した緑膿菌株が,水遊び場の水から検出された菌株と一致した.
    これまで緑膿菌は,温水浴槽や水泳プール利用後の毛嚢炎の集団発生との関連が指摘されてきた.しかし,今回の小児の足にみられた温かく疼痛のある結節は,独自の皮膚病変と考えられる.汚染水と,水遊び場の床面の小砂による外傷が,今回の集団発生につながった.

REVIEW ARTICLE

  • 免疫学の進歩:自己免疫疾患
    Advances in Immunology: Autoimmune Diseases

    免疫学の進歩:自己免疫疾患

    西欧諸国では,人口の 5%近くが自己免疫疾患に罹患し,リウマチ性関節炎のような一部の疾患は,慢性的障害や経済損失の重要な原因となっている.本誌の免疫学シリーズの一部であるこの論文は,自己免疫疾患の分類,疾患の発症機序,最近の治療の進歩に関する,包括的な総説である.

  • 医学の進歩:コカイン使用による心血管系合併症
    Medical Progress: Cardiovascular Complications of Cocaine Use

    医学の進歩:コカイン使用による心血管系合併症

    コカインは世界中で乱用されている.コカインは,シナプス前ニューロンにおけるノルエピネフリンとドーパミンの再取込みを阻害するので,強力な交感神経作動薬である.コカインのこうした機序により,冠動脈の収縮が生じ,心筋酸素需要の増大と合わせて,心筋虚血や心筋梗塞を起こす場合がある.コカイン使用は,拡張型心筋症,致死的な可能性のある不整脈,感染性心内膜炎,大動脈解離とも関連している.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • Clinical Problem-solving:きわどい時に
    Clinical Problem-Solving: Of Nicks and Time

    Clinical Problem-solving:きわどい時に

    心疾患の既往のない 32 歳男性が,失神のエピソード後に救急部門を受診した.患者はその晩早くに「クラック」コカインを吸い,その直後に胸痛が生じ,続いて短時間の意識喪失が生じた.