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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 16, 2001
Vol. 345 No. 7

  • 米国における管理されていない高血圧症患者の特徴
    Characteristics of Patients with Uncontrolled Hypertension in the United States

    この大規模な全国健康調査は,米国成人人口の約 27%が高血圧症であることを示した.高血圧者のうち,服薬にて血圧がコントロールされているのは 23%にすぎない.管理されていない高血圧症の症例の大部分は,65 歳以上の軽度収縮期高血圧であり,医療に対する適切な受診機会を有する者が大半であった.

    今回の健康調査の結果は,いささか驚きである.管理されていない高血圧症の問題は,貧困層,健康保険の非加入者,人種的少数派に限定されていない.むしろ医療への受診機会を有し,医師との接触が比較的多い高齢者で,より頻度が高い.

    • 無症候性腟トリコモナス感染症の妊娠女性の早産予防におけるメトロニダゾールの失敗
      Failure of Metronidazole to Prevent Preterm Delivery among Pregnant Women with Asymptomatic Trichomonas Infection

      無症候性腟トリコモナス感染症の妊娠女性の早産予防におけるメトロニダゾールの失敗

      妊娠中の Trichomonas vaginalis 感染は早産と関連するが,無症状の女性に対する感染のスクリーニングと治療により,早産のリスクが低下するか否かは明らかでなかった.この無作為割付け,二重盲検,プラセボ対照試験では,妊娠中の無症候性腟トリコモナス感染症に対するメトロニダゾール投与により,早産のリスクは低下せず,むしろ上昇した.リスクの上昇は主に早期陣痛発来の頻度上昇によるものであった.

      無症状の妊娠女性の腟トリコモナス感染症に対する,日常的なスクリーニングと治療は,推奨できない.

      • 急性冠症候群におけるアスピリンにクロピドグレルの追加
        Clopidogrel in Addition to Aspirin in Acute Coronary Syndromes

        急性冠症候群におけるアスピリンにクロピドグレルの追加

        急性冠症候群の患者は,通常アスピリンの投与を受ける.この臨床試験は,アデノシン二リン酸による血小板凝集を阻害する抗血小板薬であるクロピドグレルの追加投与が,追加的な効果をもたらすか否かに焦点を当てた.クロピドグレルとアスピリンの併用により,心血管系の原因による死亡,非致死性心筋梗塞,脳卒中を合わせた複合エンドポイントの発現率が,アスピリン単独の場合と比べて 20%低かったものの,出血のリスクは上昇した.

        クロピドグレルとアスピリンの併用には,アスピリン単独にはない臨床的効果があるものの,その効果は小さかった.しかも効果の一部は,輸血が必要となる場合を含む出血リスクの上昇により,相殺された.併用療法レジメンによる治療を受けた患者に対して,出血性合併症の監視を厳重に行うべきである.

        • 雑誌のたばこ広告
          Cigarette Advertising in Magazines

          誌のたばこ広告 Ci

          青少年の喫煙の減少は,公衆衛生上,優先順位の高い問題である.46 州と四大米国たばこ企業のあいだで締結された 1998 年の基本和解合意は,若者を標的とするたばこ広告を禁止した.この研究は,1995~2000 年における雑誌のたばこ広告の動向を調査した.雑誌のたばこ広告や,若者の広告曝露に対して,基本和解合意がほとんど効果がなさそうであることを,調査は示した.

          雑誌広告は,たばこ産業のマーケティング支出全体のごく一部を占めるにすぎないが,青少年がたばこに関する情報に曝露するうえで重要な手段である.今回の結果は,雑誌のたばこ広告に対する,より厳格な制限の必要性を示唆している.

          • 臨床診療:不顕性甲状腺機能亢進症
            Clinical Practice: Subclinical Hyperthyroidism

            67 歳女性に,心房細動が生じた.理学検査では,心拍数 120 の不整脈と,以前からの甲状腺腫のみを認める.甲状腺刺激ホルモン血清濃度は,0.05 mU/L 未満である.サイロキシンとトリヨードサシロニン濃度は正常である.この患者の甲状腺機能不全に対して,治療を行うべきだろうか?

            今週の「臨床診療」は,不顕性甲状腺機能亢進症に関連するリスクの可能性と,管理方法を考察している.

            • 医学の進歩:特発性肺線維症
              Medical Progress: Idiopathic Pulmonary Fibrosis

              医学の進歩:特発性肺線維症

              特発性肺線維症は,通常 50 歳代から 60 歳代で認められるようになる,急速進行性の線維化疾患であり,患者の 40%が呼吸不全にいたる.支持的治療が大部分であるが,最近の試験的治療は有望であり,若年患者の一部に対しては,肺移植も可能性のある選択肢である.