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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

April 10, 2003
Vol. 348 No. 15

ORIGINAL ARTICLE

  • 再発性静脈血栓症予防のための低用量ワーファリン療法
    Low-Intensity Warfarin Therapy to Prevent Recurrent Venous Thrombosis

    再発性静脈血栓症予防のための低用量ワーファリン療法

    特発性静脈血栓塞栓症の標準治療は,ヘパリンによる抗凝固療法後,ワーファリン療法を 3~12 ヵ月間継続することであるが,ワーファリン投与中止後静脈血栓が再発する可能性がある.この臨床試験では標準的抗凝固療法終了後の長期低用量ワーファリン療法(目標 INR 1.5~2.0)をプラセボと比較した.低用量ワーファリン療法はきわめて有効性が高く,出血リスクの低いことと関連していた.
    今回の試験は,特発性静脈血栓塞栓症が発症した後の予防的抗凝固療法の新たな標準を示すかもしれない.長期低用量ワーファリン療法は推奨されるアプローチになる可能性がある.

  • アテローム性動脈硬化症と静脈血栓症
    Atherosclerosis and Venous Thrombosis

    アテローム性動脈硬化症の患者では,凝固系が全身で活性化している可能性がある.この研究では超音波検査法を用いて,深部静脈血栓症患者と対照被験者の頸動脈のアテローム性動脈硬化を定量した.深部静脈血栓症患者は,対照被験者よりも頸動脈疾患の発生率が有意に高かった.
    凝固系の活性化は,アテローム性動脈硬化症と静脈血栓症とを病態生理的に連結するものとしての役割をもつ可能性があり,予防的介入の可能性を示している.

  • 薬剤抵抗性てんかん患者における薬物トランスポーター遺伝子 ABCB1 の多型
    Polymorphisms in the Drug-Transporter Gene ABCB1 in Patients with Drug-Resistant Epilepsy

    薬剤抵抗性てんかんは頻度が高く,てんかん患者の 1/3 を冒す消耗性疾患であるが,その原因は明らかになっていない.この遺伝学的研究では,薬剤抵抗性てんかん患者が,薬剤反応性のてんかん患者よりも,薬物トランスポーター遺伝子(ABCB1)の多型を有する頻度が高かった.
    この研究により,てんかんに用いられる薬物の輸送を制御する遺伝子における多型と,てんかんの薬物治療抵抗性との興味深い関連が確認された.この遺伝的発見は,薬剤抵抗性てんかん治療の進歩につながるかもしれない.

  • ソニックヘッジホッグ突然変異の着床前診断
    Preimplantation Diagnosis for Sonic Hedgehog Mutation

    ソニックヘッジホッグ遺伝子の突然変異は,全前脳胞症と関連している.罹患した 2 例の小児の父親である男性に対して単一精子検査を行ったところ,ソニックヘッジホッグ突然変異のモザイク現象が同定された.スクリーニング検査では両親のゲノム DNA は正常であった.着床前遺伝子診断を利用することにより,ソニックヘッジホッグ突然変異がないことが確認された健康な女児が生まれた.
    この報告は,着床前遺伝子診断が,先天性奇形の既往のある家族の有用な選択肢になる可能性があることを示している.

CLINICAL PRACTICE

  • 冠動脈バイパス術後の患者のケア
    Care of Patients after Coronary-Artery Bypass Surgery

    5 年前に心筋梗塞を起し,6 ヵ月前に冠動脈バイパス術を受けた 71 歳の女性が,プライマリケア医を受診している.この患者に術後の合併症はなかったが,術中の経食道心エコー検査で,下行大動脈にグレード 5 のアテロームがあることが明らかになっている.また,心臓症状や神経症状はないが,抑うつを感じ,集中することが困難であることを認めている.低比重リポ蛋白コレステロール濃度は 128 mg/dL,高比重リポ蛋白コレステロール濃度は 40 mg/dL であり,トリグリセリド濃度は 200 mg/dL である.患者の長期転帰を改善するために医師は何を助言すべきであろうか?

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • ヘモグロビンと,一酸化窒素のパラクリン機能およびエンドクリン機能
    Hemoglobin and the Paracrine and Endocrine Functions of Nitric Oxide

    一酸化窒素は,血管緊張の維持において重要な因子であり,血管平滑筋を弛緩させる.ヘモグロビンは速やかに一酸化窒素を破壊し,一酸化窒素の活性を局所に限定する.最近の研究により,高酸素分圧下では一酸化窒素がヘモグロビンと反応し,比較的長命な産物を形成することが示唆されている.低酸素分圧下では,これらの産物が血管拡張性の一酸化窒素を放出する.この研究には議論の余地があるが,一酸化窒素の吸入が治療薬となる可能性の根拠を提供している.

LEGAL ISSUES IN MEDICINE

  • HIPAA 規制 ― 医療記録プライバシーの新時代?
    HIPAA Regulations ― A New Era of Medical-Record Privacy?

    1996 年に制定された「医療保険の携行性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act: HIPAA)」による新たなプライバシー規制が,2003 年 4 月 14 日に発効する.この論説は,この新しい政策が開業医に与える影響を概説している.この規制は,請求書作成を含め,なんらかの業務を電子的に行う医療提供者に適用されるため,事実上すべての医師に影響を与えるであろう.この規制は,医療提供者が患者に対し,患者の明確な同意を得ることなく患者の記録にアクセスできるのはだれかということと,自分自身の記録を点検し,修正することができる患者の権利について知らせて,プライバシーに関する通知を行うことを義務付けている.

CORRESPONDENCE

  • 透析における透析量と膜流量

  • 運動が血漿リポ蛋白に与える影響

  • 癌の臨床試験のための同意文書

  • 巨細胞性動脈炎

  • 植物製剤

  • 結核とポット病

  • 咳払い ― 小児における新たな喘息症状

  • ビスフォスフォネートの静脈内投与療法後に生じた低カルシウム血症