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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 20, 2004
Vol. 350 No. 21

ORIGINAL ARTICLES

  • 非小細胞肺癌における EGFR 変異とゲフィチニブに対する反応
    EGFR Mutations in Non-Small-Cell Lung Cancer and the Response to Gefitinib

    非小細胞肺癌における EGFR 変異とゲフィチニブに対する反応

    ゲフィチニブは上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼ阻害薬であるが,非小細胞肺癌患者で有効性を示すのは 20%未満である.この研究では,ゲフィチニブに反応性を示す患者から採取した腫瘍の大半で, EGFR 遺伝子に,EGFR のチロシンキナーゼを変化させる変異が認められた.

    非小細胞肺癌は米国における癌死亡の主因である.非小細胞肺癌のゲフィチニブに対する反応性の基礎にある機序は,EGFR が役割を果している非小細胞肺癌やその他の固形腫瘍の治療に大きな意味をもつ.

  • 心不全における心臓再同期療法
    Cardiac-Resynchronization Therapy in Heart Failure

    慢性心不全患者の中には,左室の非同期性収縮の原因となる,心室内伝導の遅延がみられる例がある.この大規模な臨床試験では,同期性収縮を回復させるための両心室ペーシングが,そのような患者に大きな利益をもたらすことが確認された.植込み型除細動器の併用により,死亡率がさらに低下する.

    心室内伝導遅延がみられる心不全患者では,再同期療法は,とくに植込み型除細動器を併用した場合,臨床上利益がある可能性がある.

  • 拡張型心筋症における植込み型除細動器
    Implantable Defibrillators in Dilated Cardiomyopathy

    非虚血性拡張型心筋症に起因する左室機能不全患者では,心室性不整脈による突然死のリスクが高い.この研究では,電気的除細動器の予防的植込みにより,全生存率は改善されなかったが,不整脈による死亡のリスクが有意に減少することが明らかになった.

    非虚血性拡張型心筋症により左室機能不全をきたした患者に対して,予防を目的とした電気除細動器の日常的な利用を推奨することはできない.そうした装置の植込みは,状況に応じて検討すべきである.

CLINICAL PRACTICE

  • 足底筋膜炎
    Plantar Fasciitis

    足底筋膜炎

    55 歳の過体重女性が,3 ヵ月にわたり右踵部足底に疼痛を訴えている.痛みは,朝の第一歩を踏み出したときにより強く感じられる.診察では,内側踵骨結節部に非特異的な圧痛を認めるほかは正常である.この患者をどのように評価し,治療すべきであろうか?

DRUG THERAPY

  • 関節リウマチの新規治療薬
    New Drugs for Rheumatoid Arthritis

    関節リウマチは,米国の人口の約 1%が罹患しており,不可逆性の関節変形や機能障害を引き起す可能性がある.この自己免疫疾患の原因は依然として不明であるが,根底にある機序の解明がすすんだことにより,新薬開発が促進され治療に革新がもたらされている.
    この“Drug Therapy”では,いくつかの新規薬剤の特性,作用機序,使用法を概説している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 足と下肢にしびれと痛みを有する女性
    A Woman with Numbness and Pain in the Feet and Legs

    76 歳の女性が,足と下肢にしびれと痛みがあるために,神経科医院に紹介された.症状は 6 年前に始った.脊椎の画像検査では異常は認められず,電気診断検査は正常であった.この論文では,痛みを伴う感覚神経障害の鑑別診断について概説し,新しい診断検査と治療の選択肢が述べられている.

SOUNDING BOARD

  • 技術革新に対するメディケアの適用範囲
    Medicare Coverage for Technological Innovations

    メディケアは,2003 年に 3 つの新しい手技,肺容量減少手術,除細動器の植込み,左心補助装置の植込みの適用を承認した.メディケアがこれらの治療に支払う年間費用は 110 億ドルにものぼる可能性があり,メディケア薬剤給付の推定年間費用の 20%を上回る.現在のメディケアの方針は,「妥当で,必要な」診療に給付金を支払うというものである.著者は,メディケアが適用する手技を決定するための,明確な基準を設けるべきであると主張している.