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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 30, 2004
Vol. 351 No. 14

ORIGINAL ARTICLES

  • 好中球減少を呈し発熱の持続する患者における抗真菌薬治療
    Antifungal Therapy in Patients with Fever and Neutropenia

    好中球減少を呈し発熱の持続する患者における抗真菌薬治療

    この多国間二重盲検試験では,好中球減少を呈し発熱の持続する患者 1,095 例を対象に,経験的抗真菌薬治療として,エキノカンジン系薬剤カスポファンギンとリポソーム封入アムホテリシン B を比較した.カスポファンギンは,標準療法と同程度に有効で,標準療法よりも忍容性に優れていた.また,腎毒性は低く,薬物関連の有害事象も少なかった.

    この試験の結果は,好中球減少を呈し発熱の持続する高リスク患者に対して行う経験的抗真菌療法として,効果的な新しい選択肢を支持している.

  • 赤芽球癆とエポエチン治療
    Pure Red-Cell Aplasia and Epoetin Therapy

    2002 年,本誌は,エリスロポエチン(エポエチン)の投与を受けた腎不全患者で発症した,13 例の赤芽球癆を報告した.1998~2003 年に発症した症例は,175 例がエプレックス(エポエチン α 製剤),11 例がネオレコルモン(エポエチン β 製剤),5 例がエポジェン(エポエチン α 製剤)の使用に関連していた.新しい規制法の公布後,エポエチン治療に関連する赤芽球癆の発生率は 80%以上減少した.市販後調査,製造法の改善,投与経路の変更により,エプレックスに関連した赤芽球癆の発生率は激減した.

  • Fas の体細胞変異による自己免疫性リンパ増殖症候群
    Autoimmune Lymphoproliferative Syndrome with Somatic Fas Mutations

    自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)は,リンパ節腫脹や脾腫,高 γ グロブリン血症,自己免疫の原因が,リンパ球のアポトーシスに対する耐性にあると考えられる小児疾患である.細胞死の異常は,一般的には,アポトーシスに必須な遺伝子である Fas の生殖細胞系変異が原因である.この論文では,Fas の体細胞変異が関与する型の ALPS を報告している.

    これらの研究は,リンパ系のホメオスタシスの維持における Fas 遺伝子の重要性を強調している.

BRIEF REPORT

  • 自己免疫性リンパ増殖症候群とリンパ腫を呈する患者におけるパーフォリンと Fas の遺伝性変異
    Inherited Perforin and Fas Mutations in a Patient with Autoimmune Lymphoproliferative Syndrome and Lymphoma

    父親から Fas 遺伝子の変異を,母親からパーフォリン遺伝子の変異を受け継いだ患者に,自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)と B 細胞リンパ腫が発症した.変異 Fas 遺伝子は ALPS の発症に関与し,変異パーフォリン遺伝子は B 細胞リンパ腫発症に対する抵抗性を低下させたと考えられる.

DRUG THERAPY

  • 肺動脈性肺高血圧症の治療
    Treatment of Pulmonary Arterial Hypertension

    肺動脈性肺高血圧症の治療

    肺動脈性肺高血圧症は,血管増殖と肺の小血管のリモデリングを特徴とする.この疾患により,肺血管の抵抗性が徐々に増大して,最終的には右室不全や死にいたる.近年治療法が大きく進歩しているにもかかわらず,この悲惨な病態を治癒させる方法は現時点では存在しない.この論文では,患者の生命を延長し,QOL を向上させるような治療法の開発における,最近の進展を論じている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 足跡
    Footprints

    喘息と過敏性腸症候群の既往がある 42 歳の女性が,下肢に発疹を伴う,足部・足関節の痛みと腫脹のため診察を受けた.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • キチンと喘息
    Chitin and Asthma

    インターロイキン 13 は,喘息の病態生理に重大な影響を与える.最近の研究では,キチナーゼがインターロイキン 13 の作用に関与している可能性があり,マウスモデルでは,キチナーゼが喘息反応に重大な役割を果すことが示されている.

HEALTH POLICY REPORT

  • 英国における医師報酬とケアの質との関連付け
    Linking Physicians' Pay to Quality of Care in the United Kingdom

    この“Health Policy Report”で著者は,英国で実施されている主要な成果主義給与プログラムについて述べている.家庭医に対する政府からの追加報酬は,医師が提供するケアの質に基づくことになる.臨床ケアの質,診療業務の組織化,および患者の経験を判定する複合指標が優れていれば,家庭医は,最高で 1,050 点のボーナスポイント(総所得で推定 75,000 ドル以上に相当)を得ることができる.