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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 11, 2007
Vol. 356 No. 2

ORIGINAL ARTICLE

  • 転移性腎細胞癌におけるスニチニブとインターフェロン α の比較
    Sunitinib versus Interferon Alfa in Metastatic Renal-Cell Carcinoma

    スニチニブは,さまざまな種類の癌の治療において,有効性の検証が行われている新規抗血管新生薬の 1 つである.VHL 遺伝子の変異により血管新生と腫瘍増殖を促進する細胞受容体が刺激されるというエビデンスがあることから,この新薬では明細胞型の腎細胞癌はとくに重要である.この試験で,転移性腎細胞癌の治療におけるスニチニブの有望な結果が示された.

  • 進行性腎明細胞癌におけるソラフェニブ
    Sorafenib in Advanced Clear-Cell Renal-Cell Carcinoma

    転移性腎細胞癌の予後は,とくに明細胞が優勢な型の場合芳しくない.この試験では,転移性腎明細胞癌の患者において,癌細胞の増殖と腫瘍血管新生の経口活性阻害薬であるソラフェニブをプラセボと比較した.ソラフェニブの成績はそれほど大きくなかったが,この薬剤は初期アジュバント治療として試験するには十分有望である.

  • 周産期におけるネビラピン単回投与後の抗レトロウイルス療法への反応
    Response to Antiretroviral Therapy after One Peripartum Dose of Nevirapine

    この研究では,過去の分娩時にネビラピンまたはプラセボの単回投与を受けたボツワナの HIV 感染女性 218 例を対象に,ネビラピンを基本とした抗レトロウイルス療法への反応について検討した.ネビラピン単回投与後,ネビラピン群患者の 18.4%が治療に失敗したのに対し,プラセボ群患者ではわずか 5.0%であった.ただし,ウイルス学的失敗のリスクは,ネビラピンの周産期投与後 6 ヵ月以内に抗レトロウイルス療法を開始した場合と比べて,6 ヵ月以上経ってから開始した場合には増加しないようであった.

  • 家族性高コレステロール血症
    Familial Hypercholesterolemia

    ホモ接合性家族性高コレステロール血症は,早発性心血管疾患につながる重篤な疾患である.この予備試験では,LDL コレステロール値低下に非常に有効な薬剤である,ミクロゾームトリグリセリド転移蛋白阻害薬を用いた新しい治療法について検討した.しかし,この治療法の臨床適用は,肝脂肪の著しい蓄積ならびに肝アミノトランスフェラーゼ値上昇により制限される可能性がある.

SPECIAL ARTICLE

  • 刑務所からの出所 ― 死亡リスクの上昇
    Release from Prison - A High Risk of Death

    この研究から,1999~2003 年にワシントン州の刑務所から出所した元受刑者は死亡リスクが高く,とくに出所後最初の 2 週間に高いことが示された.出所したばかりの元受刑者の死亡の多くは,薬物の過剰摂取によるものであった.元受刑者は,出所後最初の 2 週間に薬物の過剰摂取により死亡する確率が,ワシントン州の他の住民よりも 129 倍高かった.

CLINICAL PRACTICE

  • 脳震盪
    Concussion

    64 歳の女性が,凍結した歩道で滑り,前方へ倒れて前額部を打ち付けた.女性には転倒直後に短い痙攣があり,1 分未満の無反応のあと,頭部全体の激痛および吐気と共に気が付いた.嘔吐はなかった.女性は転倒したことに困惑していたのに加え,その前の数時間のことを思い出せなかった.意識と見当識はあり,神経学的検査でも異常はみられなかった.衝突部位に明確な圧痛と頭皮挫傷がみられ,右頬部に表皮剥脱があった.どのような経過が予測されるであろうか? また,この症例をどのように管理すべきであろうか?

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 鼻出血と吐血,および精神状態の変調をきたした 40 歳の女性
    A 40-Year-Old Woman with Epistaxis, Hematemesis, and Altered Mental Status

    40 歳の女性が,鼻出血と吐血,および精神状態の変調のため入院した.患者には 6 ヵ月にわたり多量の経血があり,入院の 2 週間前にはほかの部位からも出血がみられるようになった.出血性疾患の既往歴と家族歴はなかった.入院時には出血と血栓症の所見がみられた.臨床検査で凝固検査に顕著な異常がみられ,血小板数は低値から正常値であった.入院 10 日目に,診断検査の結果が報告された.