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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

August 5, 2010
Vol. 363 No. 6

ORIGINAL ARTICLE

  • ナノ濾過 C1 インヒビター濃縮製剤による遺伝性血管性浮腫の治療
    Nanofiltered C1 Inhibitor Concentrate for Treatment of Hereditary Angioedema

    最近開発された C1 インヒビター濃縮製剤の遺伝性血管性浮腫への効果が 2 つの試験によって評価された.血管性浮腫の急性発作の治療に関する試験では,急性発作から症状改善までの時間は C1 インヒビター群のほうがプラセボ群より有意に短かった.予防に関する試験では,1 期間(12 週)あたりの発作の発生頻度は,C1 インヒビター群のほうがプラセボ群より有意に低かった.

  • 遺伝性血管性浮腫の急性発作に対するエカランチド
    Ecallantide for the Treatment of Acute Attacks in Hereditary Angioedema

    無作為化試験において,血管性浮腫の急性発作を起こした遺伝性血管性浮腫患者 72 例を,組換え血漿カリクレイン阻害薬エカランチドを投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.投与後 4 時間で患者が評価した 2 つの治療成績スコアの中央値は,エカランチド群のほうがプラセボ群より有意に良好であった.

  • 遺伝性血管性浮腫に対するイカチバント投与
    Icatibant Treatment in Hereditary Angioedema

    2 件の無作為化試験において,急性発作を起こした遺伝性血管性浮腫患者を対象に,ブラジキニン受容体拮抗薬イカチバントの効果が検討された.各試験の主要エンドポイントは,臨床的に有意な症状の改善までの時間の中央値であった.1 件の試験では,イカチバント群のほうがトラネキサム酸群に比べて,主要エンドポイントに有意に早く達した.もう 1 件の試験では,イカチバント群はプラセボ群に比べて,主要エンドポイントに有意に早くは達しなかった.

  • 抗てんかん薬服用患者における自殺関連事象
    Suicide-Related Events in Patients Treated with Antiepileptic Drugs

    英国における臨床治療の一環として収集されたデータに基づくこの大規模観察研究では,抗てんかん薬の服用は,てんかん患者における自殺関連事象のリスク上昇とは関連していなかったが,うつ病患者においては関連していた.

  • 肥大型心筋症の初期症状としての心筋線維症
    Myocardial Fibrosis as an Early Manifestation of Hypertrophic Cardiomyopathy

    この研究によって,心筋線維症は,サルコメア変異に起因する肥大型心筋症の早期の特徴であることが示されている.1 型プロコラーゲン C 末端プロペプチドは,早期心筋線維症の血清バイオマーカーであることが明らかにされた.

CLINICAL PRACTICE

  • 横断性脊髄炎
    Transverse Myelitis

    28 歳の女性が,この 3 日間に進行した脱力と,胸部の下方のしびれ,尿意切迫のため受診した.女性はそれ以外の点では健康である.頸部の屈曲により,尾骨まで電気が走るような感覚が起こるという.検査では,反射亢進を伴う中等度の不全対麻痺,左の伸展性足底反応,振動覚と固有感覚の障害,T6 の感覚レベルが認められた.MRI では,横断性脊髄炎に一致する,ガドリニウム投与後に増強する頸髄下部病変が認められた.今後この女性をどのように評価し,治療すべきであろうか?

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 常識の枠にとらわれずに「枠組み」の中を見よ
    Thinking Inside the Box

    62 歳の女性が,悪心,嘔吐,下痢,発熱が 1 週間続いたため地域病院を受診した.女性には,乾癬とそれに伴う関節炎,高血圧,高脂血症,腰椎椎間板変性症の既往があり,線維筋痛症が疑われたことがあった.

HEALTH POLICY REPORT

  • 医療制度改革,プライマリケア,卒後医学教育
    Health Reform, Primary Care, and Graduate Medical Education

    2010 年の医療制度改革法案では,条件を満たすすべての米国人に医療保険の加入が求められたが,臨床医の労働力は新たな被保険者に医療を提供するのに不十分な可能性がある.著者は,法案に含まれる規制と,プライマリケア医の拡充・卒後医学教育の向上に関する現在の政策議論について概説している.