The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 7, 1998 Vol. 338 No. 19

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

米国における多剤耐性サルモネラ腸炎菌血清型ネズミチフス菌 DT104 感染症の発現
EMERGENCE OF MULTIDRUG-RESISTANT SALMONELLA ENTERICA SEROTYPE TYPHIMURIUM DT104 INFECTIONS IN THE UNITED STATES

M.K. GLYNN AND OTHERS

背景

抗菌剤に対して耐性を示すサルモネラ株は,世界的な健康問題となっている.固有型 104(DT104)として知られる独立株の腸炎菌血清型ネズミチフス菌は,アンピシリン,クロラムフェニコール,ストレプトマイシン,スルフォンアミド,そしてテトラサイクリンに対して耐性を示し,ヨーロッパ,とくにイギリスではヒトや動物の疾患の主要原因となっている.

方 法

米国におけるネズミチフス菌 DT104 感染症の特徴付けを行うため,サルモネラ菌の抗菌剤耐性に関する全国調査において,1979~96 年のあいだに地域や州の保健局そして公立保健研究所によって収集されたデータを解析した.5 剤耐性パターンを示す選択したネズミチフス単離菌はファージで分類した.

結 果

5 剤耐性パターンを示すネズミチフス単離菌の有病率は,1979~80 年での 0.6%から 1996 年での 34%に増加した.1994~95 年では,46 の調査地域中 36 ヵ所(78%)からのサンプルにそのような単離菌を確認した.1994~95 年と 1996 年に確認された 5 剤耐性パターンを示す 43 例のネズミチフス単離菌中 39 例がファージタイプ DT104 であったか,またはこのファージタイプに密接に関連していた.

結 論

多剤耐性ネズミチフス菌 DT104 は,米国では広範囲にわたる病原菌となった.多剤耐性ネズミチフス菌 DT104 の伝播を減少させ,この株や他の株のサルモネラ菌における別の薬剤に対する耐性の発現を遅らせるためには,家畜には抗菌剤をより慎重に使用することと農場でのさらに効果的な疾患予防が必要である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1333 - 8. )