The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 1, 2009 Vol. 360 No. 1

中枢メラノコルチン系経路による血圧調節
Modulation of Blood Pressure by Central Melanocortinergic Pathways

J.R. Greenfield and Others

背景

体重の増減は血圧の変動と関連しているが,その機序は明らかにされていない.げっ歯類では,中枢メラノコルチン系のシグナル伝達がエネルギーバランスと血圧調節に関与することが示唆されているが,ヒトの血圧への関与に関する情報はない.

方 法

メラノコルチン 4 受容体コード遺伝子(MC4R)に機能喪失変異のある過体重または肥満の被験者と,同程度に過体重の対照者を対象に,血圧,心拍数,尿中カテコールアミンを測定した.また,過体重または肥満のボランティア 28 例に MC4R 作動薬を 7 日間投与し,その効果についても検討した.

結 果

高血圧の有病率は,MC4R 欠損群のほうが対照群に比べ著しく低かった(24% 対 53%,P=0.009).降圧薬服用中の被験者を除外すると,MC4R 欠損群の血圧値は対照群に比べ有意に低くなり,収縮期血圧の平均値(±SE)は MC4R 欠損群 123±14 mmHg,対照群 131±12 mmHg で(P=0.02),拡張期血圧の平均値は MC4R 欠損群 73±10 mmHg,対照群 79±7 mmHg であった(P=0.03).対照群と比べて,MC4R 欠損群は,起床時心拍数の上昇の程度が低く(P=0.007),高インスリン正常血糖クランプ下の心拍数が低く(P<0.001),24 時間尿中ノルエピネフリン排泄量が少なかった(P=0.04).MC4R 作動薬の 1 日最大耐量である 1.0 mg を投与した場合,24 時間で収縮期血圧 9.3±1.9 mmHg 上昇,拡張期血圧 6.6±1.1 mmHg 上昇と,プラセボ群に比べ有意に上昇した(両比較について P<0.001).血圧の差は,インスリン量の変化では説明しえなかった.重大な有害事象は認められなかった.

結 論

今回の遺伝学的・薬理学的研究の結果,メラノコルチン系のシグナル伝達が,インスリンに依存しない機序を介してヒトの血圧調節に関与することが示唆された.

本論文(10.1056/NEJMoa0803085)は,2008 年 12 月 17 日に NEJM.org で発表された.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2009; 360 : 44 - 52. )