The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 3, 2010 Vol. 362 No. 22

パーキンソン病に対する脳深部刺激療法:淡蒼球刺激と視床下核刺激の比較
Pallidal versus Subthalamic Deep-Brain Stimulation for Parkinson's Disease

K.A. Follett and Others

背景

進行期パーキンソン病患者の外科的治療には,脳深部刺激療法が選択されることが多い.この手術の標的部位は淡蒼球内節と視床下核とされている.われわれは,両側脳深部刺激を淡蒼球内節に施行した患者(淡蒼球刺激群)と視床下核に施行した患者(視床下核刺激群)の 24 ヵ月後の転帰を比較した.

方 法

7 退役軍人病院,6 大学病院の特発性パーキンソン病患者 299 例を,淡蒼球刺激群(152 例)と視床下核刺激群(147 例)に無作為に割り付けた.主要評価項目は運動機能の変化とし,脳深部刺激を受けた状態かつパーキンソン病治療薬を服用していない状態の患者を,統一パーキンソン病評価尺度パート III(UPDRS-III)を用いて盲検下で評価した.副次的評価項目は自己評価による運動機能,QOL,神経認知機能,有害事象などとした.

結 果

主要評価項目の平均的変化に両群で有意差は認められなかった(P=0.50).自己評価による運動機能にも有意差は認められなかった.視床下核刺激群では,ドパミン作動薬の必要量が淡蒼球刺激群より少なかった(P=0.02).処理速度の要素の 1 つ(視覚運動)は,視床下核刺激群のほうが淡蒼球刺激群より低下した(P=0.03).うつ症状の程度は視床下核刺激群では悪化し,淡蒼球刺激群では改善した(P=0.02).24 ヵ月後の重篤な有害事象の発生率は淡蒼球刺激群 51%,視床下核刺激群 56%で,両群間に有意差は認められなかった.

結 論

パーキンソン病患者に淡蒼球刺激,視床下核刺激のどちらを施行しても,運動機能に同程度の改善が認められた.脳深部刺激手術の標的部位を選択する際には,非運動症状を考慮するのが妥当であるかもしれない.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00056563,NCT01076452)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2010; 362 : 2077 - 91. )