The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

May 15, 1997 Vol. 336 No. 20

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

磁気共鳴血管造影法による肺塞栓症の診断
DIAGNOSIS OF PULMONARY EMBOLISM WITH MAGNETIC RESONANCE ANGIOGRAPHY

J.F.M. MEANEY AND OTHERS

背景

肺塞栓症の診断は,信頼できる非侵襲的画像法がないため困難であると思われる.われわれは,肺塞栓症の診断に関して,新規非侵襲法であるガドリニウム増強肺動脈磁気共鳴血管造影法を,標準的な肺動脈血管造影法と比較した.

方 法

肺塞栓症が疑われる一連の患者 30 人に対し,標準肺動脈血管造影法と,ガドリニウムの静脈内 1 回投与時の肺動脈位相での磁気共鳴血管造影法を行った.標準的な血管造影での所見を知らない 3 人の検査医が別々に,すべての磁気共鳴画像の肺塞栓の有無を調べた.

結 果

標準肺動脈血管造影法により,肺塞栓症が疑われた患者 30 人中 8 人が肺塞栓症と確認された.標準血管造影で確認した肺葉塞栓 5 例すべてと分葉塞栓 17 例中 16 例を,磁気共鳴画像上でも確認した.検査医 3 人中 2 人が磁気共鳴血管画像でそれぞれ 1 例の疑似陽性を報告した.標準的な肺動脈血管造影法と比較すると,3 セットの値の読みは,感度がそれぞれ,100,87,および 75%で,特異性は 95,100,および 95%であった.観察者間の相関は良好であった(すべての血管について k=0.57~0.83 ,主血管および肺葉血管について 0.49~1.0,そして分葉血管について 0.40~0.81).

結 論

この予備試験において,肺動脈のガドリニウム増強磁気共鳴血管造影法は,従来の肺動脈血管造影法と比較して,肺塞栓症の診断に対して高い感度と特異性を示した.この新しい技法は,電離放射線照射またはヨウ化造影物質を必要としない肺塞栓症診断の非侵襲法として有望である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1422 - 7. )