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January 16, 1997 Vol. 336 No. 3

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伏在静脈を用いた冠動脈バイパスグラフトでの閉塞性変化に低比重リポ蛋白コレステロール濃度の積極的低下と低用量抗凝固薬が及ぼす影響
The Effect of Aggressive Lowering of LDL-C Levels and Low-Dose Anticoagulation on Obstructive Changes in Saphenous-Vein CABGs

THE POST CORONARY ARTERY BYPASS GRAFT TRIAL INVESTIGATORS

背景

伏在静脈を用いた大動脈冠動脈バイパスグラフトには,アテローム性硬化症や血栓症によって閉塞性変化がしばしば生じる.われわれは,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールの積極的低下,あるいは低用量抗凝固薬が,グラフトのアテローム性硬化症の進行を遅らせるか否かを検討した.

方 法

試験開始の 1~11 年前にバイパス手術を受け,LDL コレステロール濃度が 130~175 mg/dL で,血管造影にて 1 ヵ所以上の開通しているグラフトが確認された患者 1,351 人を対象とした.2×2 要因層別法を用いて,LDL コレステロールを低下させる積極的治療または中等度治療(ロバスタチンと,必要に応じてコレスチラミンを使用),そしてワルファリンまたはプラセボによる治療に患者を割り付けた.ベースラインから平均 4.3 年後に血管造影を再施行した.血管造影上の主要エンドポイントは,患者あたりの,血管径が 0.6 mm 以上減少したグラフトの平均百分率とした.

結 果

試験期間中の毎年の測定から,積極的治療を受けた患者の LDL コレステロールの平均値は 93~97 mg/dL,中等度治療では 132~136 mg/dL であった(p<0.001).平均国際標準比はワルファリン群で 1.4,プラセボ群で 1.1 であった(p<0.001).アテローム性硬化症へ進行したグラフトの平均百分率は,LDL コレステロールを積極的治療で低下させた患者で 27%,中等度治療で低下させた患者で 39%であった(p<0.001).血管造影上の転帰に,ワルファリン群とプラセボ群とのあいだで有意差を認めなかった.4 年間の血行再建率は,LDL コレステロールを積極的に低下させた群のほうが,中等度治療群よりも 29%低かった(6.5% 対 9.2%,p=0.03).

結 論

LDL コレステロール濃度の 100 mg/dL 以下への積極的低下により,グラフトでのアテローム性硬化症の進行が減少した.低用量ワルファリンは,アテローム性硬化症の進行を軽減しなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 153 - 62. )