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June 19, 1997 Vol. 336 No. 25

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急性膵炎のスクリーニング試験としての尿中トリプシノーゲン-2 の迅速測定
RAPID MEASUREMENT OF URINARY TRYPSINOGEN-2 AS A SCREENING TEST FOR ACUTE PANCREATITIS

E.A. KEMPPAINEN AND OTHERS

背景

急性膵炎は診断むずかしい場合がある.われわれは,尿中トリプシノーゲン-2 の免疫クロマトグラフィー測定に基づく,尿試験紙法を用いた膵炎の迅速スクリーニング検査を開発した.

方 法

2 ヵ所の救急部門で一連の急性腹痛患者 500 人について,尿中トリプシノーゲン-2 尿試験紙検査を,定量的尿中トリプシノーゲン-2 測定法,尿中アミラーゼ尿試験紙検査,血清中・尿中アミラーゼ測定法と前向きに比較した.急性膵炎は統一基準に従って診断した.

結 果

尿中トリプシノーゲン-2 尿試験紙検査は,重度膵炎の患者 7 人全員を含め,急性膵炎の患者 53 人中 50 人で陽性であった(感度,94%).尿中トリプシノーゲン-2 濃度が試験の感度閾値(50 ng/mL)以下である患者 2 人および非常に高濃度を示す患者 1 人が,偽陰性結果を示した.検査はまた,膵炎を有しない患者 447 人中,腹部癌 7 人,胆管炎 3 人,および慢性膵炎 2 人を含む 21 人でも陽性であった(特異性,95%).尿試験紙検査の感度および特異性は,定量的トリプシノーゲン-2 測定法と同程度で,尿中アミラーゼ尿試験紙検査より高かった.血清中アミラーゼ測定法の感度は 85%(参考上限に関するカットオフ値 300 U/L)で,特異性は 91%であった.尿中アミラーゼ測定法の感度および特異性(カットオフ値,2,000 U/L)はそれぞれ,83 および 88%であった.

結 論

救急部門に運ばれた急性腹痛患者では,尿中トリプシノーゲン-2 に関する尿試験紙検査が陰性であれば,高い確率で急性膵炎が除外される.検査陽性であれば,通常,精密検査を必要とする患者と特定される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1788 - 93. )