The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 26, 1997 Vol. 336 No. 26

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

特発性巨細胞心筋炎 ― 自然経過と治療
IDIOPATHIC GIANT-CELL MYOCARDITIS — NATURAL HISTORY AND TREATMENT

L.T. COOPER, JR., G.J. BERRY, AND R. SHABETAI

背景

特発性巨細胞心筋炎は,まれな,しばしば致命的な障害である.われわれは,多施設データベースを用いて,巨細胞心筋炎の自然経過と治療効果を明らかにした.

方 法

雑誌での広報と全世界の心臓血管施設に直接手紙を送ることにより,特発性巨細胞心筋炎患者 63 人を確認した.

結 果

患者は男性 33 人および女性 30 人から成り,平均年齢は 42.6 歳であった;88%が白人で,5%が黒人,5%が東南アジアまたはインド人,そして 2%が中東人であった.ほとんどがうっ血性心不全(患者 47 人,または 75%),心室性不整脈(9 人,または 14%),または心ブロック(患者 3 人,または 5%)を呈し,数例では,初期症状は心筋梗塞に似ていた(患者 4 人).19%が自己免疫疾患に関連した.生存率は,心筋炎治療臨床試験におけるリンパ球性心筋炎を有する患者 111 人よりわるかった(p<0.001);われわれの患者では死亡または心臓移植率は 89%で,症状発現からの生存期間の中央値はわずか 5.5 ヵ月にすぎなかった.免疫抑制剤治療を受けなかった患者 30 人の平均 3.0 ヵ月と比較して,コルチコステロイドおよびシクロスポリン,アザチオプリン,または両療法で治療した患者 22 人の生存期間は,平均 12.3 ヵ月であった(p=0.001).心臓移植を受けた患者 34 人中 9 人(26%)では,移植心臓にも巨細胞の浸潤を認め,1 人が巨細胞心筋炎の再発により死亡した.

結 論

巨細胞心筋炎は,比較的若く,概して健康な成人の疾患である.患者は,心臓移植を行わなければ,通常,心不全および心室性不整脈のために死亡する.致命的疾患の再発の可能性にもかかわらず,ほとんどの患者にとって移植が治療選択である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 336 : 1860 - 6. )