乳房インプラント後の再手術を必要とする合併症
COMPLICATIONS LEADING TO SURGERY AFTER BREAST IMPLANTATION
S.E. GABRIEL AND OTHERS
再手術を必要とする局所合併症は,乳房インプラント手術を受けた女性にとって重要な問題である.
われわれは,1964 年から 1991 年のあいだにメイヨ・クリニックで初回の乳房インプラント手術を受けたミネソタ州オルムステッド郡在住の女性 749 人を調べた.初回手術後およびその後のインプラント手術後に発生した合併症を確認した.合併症とは,以下の理由のために実施した外科手術として定義する; 被膜拘縮;インプラントの破裂;血腫または出血;傷口の感染症または漿液腫;慢性の疼痛;インプラントの突出,漏出,または発汗;乳頭,乳輪,または皮弁の壊死;組織拡張のための充填部分の機能不全;そして傷口の裂開.
追跡調査期間中(平均 7.8 年;範囲,0~25.8 年)に,女性 208 人(27.8%)が 450 件のインプラント関連再手術を受けた.91 件(20.2%)は,予測された段階的手術,もしくは患者がサイズ変更または美容上の改善を申し入れたために実施されたが,359 件(79.8%)には,一つ以上の臨床的症候があった(これが合併症となる).合併症は,女性 749 人中 178 人(23.8%)に起り,インプラント乳房 1,454 例中 274 例(18.8%)およびインプラント 1,703 個中 321 個(18.8%)が関与した.もっともよく起った問題は,被膜拘縮(131 人)で,インプラント破裂(43 人 [5.7%]),血腫(43 人)がこれに続き,そして傷口の感染症(19 人)の順であった.合併症発生率は,美容的インプラント手術を受けた女性(6.5%/年,12%/5 年)では,乳癌による乳房切除後(21.8%/年,34%/5 年)または予防的乳房切除後(17.3%/年,30.4%/5 年)にインプラント手術を受けた女性より有意に低かった(p<0.001).
乳房インプラント手術を受けた女性では,その後 5 年間にしばしば局所合併症が起る.美容上の理由からインプラント手術を受けた女性では,癌または癌の予防のために乳房切除術を受けた後にインプラント手術を受けた女性より,合併症発生率が有意に低かった.