居住地での磁場への曝露と小児の急性リンパ芽球性白血病
RESIDENTIAL EXPOSURE TO MAGNETIC FIELDS AND ACUTE LYMPHOBLASTIC LEUKEMIA IN CHILDREN
M.S. LINET AND OTHERS
これまでの研究から,小児の白血病と磁場への曝露の代理指標(“ワイヤー・コーディング”として知られる電力線分類スキーム)とのあいだに関連があることが見出されたが,小児白血病と 60 Hz 居住地域磁場の測定値との関連は見出されていない.
近隣の電力線により発生した磁場に対する居住地域での曝露に関する研究において,15 歳未満の小児癌グループに登録した急性リンパ芽球性白血病(ALL)の子供 638 人と対照者 620 人を登録した.被験者の健康状態をまったく知らないデータ収集者が,被験者の現在と以前の自宅の各子供部屋で 24 時間,そしてその他の 3,4 室および玄関ドアの外で 30 秒間の磁場を測定した.被験者の主な居住地域(症例患者 416 人および対照者 416 人)と,母親が被験者を懐妊中に家族が居住していた地域(症例患者 230 人および対照者 230 人)とでの近隣の電力線の距離および地形に基づき,コンピュータアルゴリズムによりワイヤーコード分類を行った.
小児 ALL のリスクは,これまでの基準に従って分類すると,概略的時間加重平均居住磁場レベルと関係しなかった.ALL のオッズ比は,0.065 μT 未満の曝露と比較すると,0.200 μT 以上の曝露で 1.24(95%信頼区間,0.86~1.79)であった.ALL のリスクは,主な居住地域がワイヤーコード最高分類にある子供でも増加しなかった(最低分類と比較したオッズ比,0.88;95%信頼区間,0.48~1.63).さらに,このリスクは,被験者を懐妊中に母親が居住していた自宅の居住地域磁場レベルにも,ワイヤーコードにも有意に関連しなかった.
われわれの結果では,時間加重平均磁場レベルが高い,またはワイヤーコード分類でもっとも高いとされる家に住んでいても,子供の ALL のリスクが増加するという証拠はほとんどない.