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November 20, 1997 Vol. 337 No. 21

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HIV 経皮的曝露後の医療従事者における HIV セロコンバージョンに関する症例対照研究
A CASE–CONTROL STUDY OF HIV SEROCONVERSION IN HEALTH CARE WORKERS AFTER PERCUTANEOUS EXPOSURE

D.M. CARDO AND OTHERS

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染血に経皮的曝露後の HIV 感染症の平均的リスクは 0.3%であるが,このリスクに影響を及ぼす要因はよくわかっていない.

方 法

職業上,HIV 感染血に経皮的に曝露された医療従事者の症例対照研究を実施した.症例患者は,フランス,イタリア,イギリス,およびアメリカの全国調査システムによって報告された,HIV に曝露後に血清陽性となった患者であった.対照者は,前向き調査プロジェクトにおいて,HIV に曝露されたがセロコンバージョンは起こらなかった医療従事者であった.

結 果

症例患者 33 人と対照者 665 人に基づくロジスティック回帰分析により,セロコンバージョンの有意な危険因子は,深部まで傷害された場合(オッズ比 = 15,95%信頼区間 6.0~41),感染源である患者の血液に肉眼的にわかるほど汚染されている器具による損傷(オッズ比 = 6.2,95%信頼区間 2.2~21),感染源患者の動脈または静脈中に留置された針を含む操作による場合(オッズ比 = 4.3,95%信頼区間 1.7~12),およびその後 2 ヵ月以内に後天性免疫不全症候群により死亡した感染源患者からの曝露(オッズ比 = 5.6,95%信頼区間 2.0~16)であった.症例患者は,対照者より,曝露後のジドブジンの服用が有意に少ないようであった(オッズ比 = 0.19,95%信頼区間 0.06~0.52).

結 論

経皮的曝露後の HIV 感染症のリスクは血液の量が多くなるほど増加し,おそらく感染源患者血液の HIV 力価が高いほど増加する.ジドブジンによる曝露後予防には防御効果があると思われる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 1485 - 90. )