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July 3, 1997 Vol. 337 No. 1

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胎児の同種免疫血小板減少症
FETAL ALLOIMMUNE THROMBOCYTOPENIA

J.B. BUSSEL, M.R. ZABUSKY, R.L. BERKOWITZ, AND J.G. MCFARLAND

背景

同種免疫血小板減少症は,母親と胎児のあいだの血小板抗原不適合に起因する重篤な胎児障害である.通常,予期しない新生児血小板減少症の発見後に診断がなされる.罹患胎児の約 10~20%に頭蓋内出血が起り,その 4 分の 1~2 分の 1 が子宮内で起る.われわれは,罹患胎児における血小板減少症と相関する因子を調べた.

方 法

われわれは,平均(±SD)妊娠齢 25±4 週で同種免疫血小板減少症の胎児 107 人を,三つの治療プロトコルの一つへ割り振る前に調査した.兄または姉が出生時にこの診断を受けていたので,これらの胎児を最初に評価した.われわれは,これらの胎児 107 人での子宮内での血小板数と,出生時の血小板数および罹患兄姉の頭蓋内出血の既往とを比較した.

結 果

最初の血小板数が≦20,000/mm3 であったのは,妊娠 24 週以前に調べた胎児 46 人中 21 人(46%)を含め,胎児 107 人中 53 人(50%)であった.PlA1 不適合の胎児 97 人は,その他の抗原不適合の胎児 10 人より重度の血小板減少症であった.当初,治療しなかった血小板数 80,000/mm3 以上の胎児 7 人では,血小板数は,10,000/mm3/週以上の速度で減少した.罹患兄姉の出生時の測定値より低い初回血小板数を示した胎児は 41 人であったが,胎児の血小板減少症の重症度を予測したのは,兄姉の出生前の頭蓋内出血の既往のみであった.治療胎児で頭蓋内出血を起したのはただ 1 例で,血小板減少症はすべての症例において出生後寛解した.

結 論

胎児同種免疫血小板減少症は妊娠初期に起り,重症で,出生前頭蓋内出血を起こした罹患兄姉を有する胎児では,より重症である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1997; 337 : 22 - 6. )