August 21, 1997 Vol. 337 No. 8
高コレステロール値,高血圧,喫煙が頸動脈狭窄に及ぼす累積的影響
CUMULATIVE EFFECTS OF HIGH CHOLESTEROL LEVELS, HIGH BLOOD PRESSURE, AND CIGARETTE SMOKING ON CAROTID STENOSIS
P.W.F. WILSON AND OTHERS
心血管危険因子を 1 回測定しても,その人がそれらの危険因子に過去に曝されたことを正確に反映しない可能性がある.したがって,われわれは高血清コレステロール値,高血圧,喫煙などの心血管危険因子と,頸動脈狭窄発生との長期の関連を調べた.
フラミンガム心臓試験に参加し,頸動脈の B モード超音波測定を受けた男性 429 人と女性 661 人のサンプルからの横断的および縦断的情報を調査した.患者の平均年齢は 75 歳で,おのおのが頸動脈超音波試験前の 34 年間に 2 年ごとの臨床検査のほとんどを受けていた.われわれは,時間的に統合した測定結果を用いて,さまざまな心血管危険因子と頸動脈狭窄の程度との関連を評価した.
中等度の頸動脈狭窄(≧ 25%)が男性 189 人および女性 226 人に存在した.最小の狭窄(< 25%)と比較したこの狭窄程度に関するオッズ比を,危険因子の増加に従って評価した.男性では,収縮期血圧 20 mmHg の増加に関連する中等度頸動脈狭窄のオッズ比は,2.11(95%信頼区間,1.51~2.97)であった.コレステロール値 10 mg/dL(0.26 mmol/L)の増加に関連するオッズ比は 1.10(95%信頼区間,1.03~1.16)で,喫煙 5 箱・年の増加に関連するオッズ比は 1.08(95%信頼区間,1.03~1.13)であった.女性でも結果は同様であった.拡張期血圧の時間的に統合した測定結果から,男性では頸動脈狭窄との有意な関連が認められ,女性では有意な関連は認められなかった.
この高齢者集団では,長期にわたる収縮期高血圧,高コレステロール値,喫煙により,頸動脈狭窄のリスクが増加した.