September 4, 1997 Vol. 337 No. 10
65 歳以上の男女の骨密度に及ぼすカルシウムとビタミン D 補充の効果
EFFECT OF CALCIUM AND VITAMIN D SUPPLEMENTATION ON BONE DENSITY IN MEN AND WOMEN 65 YEARS OF AGE OR OLDER
B. DAWSON-HUGHES, S.S. HARRIS, E.A. KRALL, AND G.E. DALLAL
食事からのカルシウムおよびビタミン D の不十分な摂取は,高齢者における骨粗鬆症の高い発生率に寄与する可能性がある.
自宅に住む 65 歳以上の男性 176 人および女性 213 人において,3 年間のカルシウムとビタミン D の食事補充が,骨塩量,骨代謝の生化学測定値,非椎体骨折の発生率に及ぼす影響を検討した.被験者に,カルシウム 500 mg+ビタミン D3(コレカルシフェロール)700 IU/日またはプラセボを投与した.骨塩量を二重エネルギー X 線吸収計によって測定し,血液および尿を 6 ヵ月ごとに分析し,非椎体骨折症例を問診で同定し,病院の記録を用いて確認した.
カルシウム–ビタミン D 群とプラセボ群の骨塩量の平均(±SD)変化は,以下の通りであった:大腿骨頸部はそれぞれ,+0.50±4.80%および -0.70±5.03%(p = 0.02);腰椎はそれぞれ,+2.12±4.06%および +1.22±4.25%(p = 0.04);全身はそれぞれ,+0.06±1.83%および -1.09±1.71%(p<0.001).カルシウム–ビタミン D 群とプラセボ群の差は 1 年後,すべての骨格部位で有意であったが,2 年目および 3 年目では,全身骨塩量に限って有意であった.非椎体骨折を起こした被験者は 37 人で,26 人がプラセボ群,11 人がカルシウム–ビタミン D 群であった(p = 0.02).
地域に住む 65 歳以上の男女において,カルシウムとビタミン D の食事による補充は,3 年の試験期間にわたって,大腿骨頸部,腰椎,全身について測定した骨量減少を中等度抑制し,非椎体骨折の発生率を低下させた.