October 2, 1997 Vol. 337 No. 14
嚢胞性線維症に対する新生児スクリーニングの栄養面での利益
NUTRITIONAL BENEFITS OF NEONATAL SCREENING FOR CYSTIC FIBROSIS
P.M. FARRELL AND OTHERS
嚢胞性線維症の多くの患者は,診断時に栄養不良である.新生児スクリーニングと早期治療が,栄養欠乏症の発症を予防するか否かはわかっていない.
新生児スクリーニングまたは標準的診断法によって同定された嚢胞性線維症患児の栄養状態を比較した.新生児 650,341 人を,乾燥血斑上の免疫反応性トリプシノーゲンの測定(1985 年 4 月~1991 年 6 月まで),または DNA 分析とトリプシノーゲン試験の組合せ(1991 年 7 月~1994 年 6 月まで)によってスクリーニングした.早期診断群の新生児 325,171 人中,スクリーニング試験陰性の 5 人を含め,74 人が嚢胞性線維症と診断された.胎便性イレウスの新生児を除いて,早期診断を受けた新生児のうち 56 人と,標準法で診断された新生児(対照群)のうち 40 人を,最長で 10 年間,生体測定と生化学的方法により栄養状態を評価した.膵機能不全は,高カロリー食事,膵酵素療法,脂溶性ビタミン補給を含む栄養介入により管理した.
嚢胞性線維症の診断は,早期診断群では,対照群よりも早い週齢で,汗試験陽性により確定された(平均,12 週齢 対 72 週齢).診断時,早期診断群では,身長と体重のパーセンタイルが有意に高く,頭囲のパーセンタイルが高かった(52 対 対照群 32;p = 0.003).早期診断群では,追跡期間中の生体測定指標も有意に高く,とくに,膵機能不全の患児と ΔF508 変異がホモ接合の患児で高かった.
新生児スクリーニングは,嚢胞性線維症の患児の栄養不良を防止する機会を提供する.