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May 18, 2000 Vol. 342 No. 20

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ロピニロール(Ropinirole)またはレボドパの治療を受けた早期のパーキンソン病患者におけるジスキネジアの発現に関する 5 年間の試験
A Five-Year Study of the Incidence of Dyskinesia in Patients with Early Parkinson's Disease Who Were Treated with Ropinirole or Levodopa

O. RASCOL AND OTHERS

背景

パーキンソン病患者の初回治療はレボドパにすべきか,あるいはドパミン作動薬にすべきかということが議論されている.

方 法

今回実施したプロスペクティブ無作為二重盲検試験では,268 例の早期のパーキンソン病患者を対象として,ドパミンの D2 受容体作動薬であるロピニロール(Ropinirole)の安全性および有効性を,レボドパとの比較において 5 年間の期間にわたって検討した.割り付けられた試験薬によって症状を十分に管理できなかった患者に対しては,非盲検法にてレボドパを追加投与できることとした.転帰の主要評価尺度は,ジスキネジアの発現であった.

結 果

5 年間の試験を完全に終了した患者は,ロピニロール群では 179 例中の 85 例(47%),レボドパ群では 89 例中の 45 例(51%)であった.レボドパの追加投与については,ロピニロール群では,これらの 85 例の患者のうちの 29 例(34%)には行われなかった.ジスキネジアが発現するまでの時間解析では,ロピニロールのほうが優れていることを示す有意な差が認められた(ジスキネジアが発現しない状態が続くハザード比,2.82;95%信頼区間,1.78~4.44;p<0.001).試験 5 年目の時点におけるジスキネジアの累積発現率は(試験開始時にジスキネジアが発現していた 3 例の患者を除く),レボドパの追加投与の有無によらずあわせて考慮すると,ロピニロール群が 20%(177 例中の 36 例),レボドパ群が 45%(88 例中の 40 例)であった.試験を完了した患者の日常生活動作(ADL)のスコアの平均変化には,2 群間に有意な差は認められなかった.有害事象によって早期に試験を中止するに至った患者は,ロピニロール群では 179 例中の 48 例(27%),レボドパ群では 89 例中の 29 例(33%)であった.試験終了時までに投与された平均 1 日用量は,ロピニロールが 16.5±6.6 mg(追加投与を受けた患者では,さらにレボドパの 427±221 mg が加わる),レボドパが 753±398 mg(追加投与分を含む)であった.

結 論

早期のパーキンソン病は,ロピニロール単剤での治療を開始し,必要な場合にはレボドパを追加投与することによって 5 年間までは巧く管理することができ,ジスキネジアのリスクが低下する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1484 - 91. )