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May 31, 2001 Vol. 344 No. 22

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AIDS への進行速度に対するMHC クラス I 分子の単一アミノ酸の変化による影響
Effect of a Single Amino Acid Change in MHC Class I Molecules on the Rate of Progression to AIDS

X. GAO AND OTHERS

背景

遺伝的多型と,ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)の感染から後天性免疫不全症候群(AIDS)へ進行する速度の研究から,もっとも強力な感受性が,主要組織適合性抗原(MHC)クラス I の HLA-B*35,Cw*04 対立遺伝子によって賦与されていることが明らかにされている.しかし,HLA-B*35 のもっとも一般的な亜型である HLA-B*3501 によって提示される HIV-1 エピトープに対する T リンパ球の細胞障害性反応も観察されている.われわれは,五つのコホートにおいて HLA-B*35 の亜型を調べ,その HLA-B*35 亜型の構造的な差異と,AIDS への進行のリスクとの関係を分析した.

方 法

セロコンバージョンが確認され,HIV-1 への感染日がわかっていた 850 例の患者で,HLA クラス I の遺伝子型を決定した.AIDS への進行速度については,ペプチド結合特異性の違う近縁 HLA-B*35 亜型群の影響をみるために,生存時間解析を実施した.

結 果

HLA-B*35 の亜型を,そのペプチド結合特異性によって以下の二つの群に分類した:HLA-B*35-PY 群,この群に含まれる主なものは HLA-B*3501 で,2 番目にプロリンと 9 番目にチロシンをもつエピトープと結合する;より広域の反応性を有する HLA-B*35-Px 群,これも 2 番目にプロリンがあり,9 番目は数種類のアミノ酸(チロシン以外)をもつエピトープと結合できる.AIDS への進行を加速させる HLA-B*35 の影響は,完全に HLA-B*35-Px 対立遺伝子に起因したものであったが,この対立遺伝子のいくつかは,HLA-B*35-PY 対立遺伝子とわずか 1 個のアミノ酸残基が異なっているだけである.

結 論

この分析は,HIV-1 感染症の患者において,HLA 分子の 1 個のアミノ酸の変化が AIDS への進行速度に多大な影響を及ぼしていることを示している.この病気の進行において HLA-B*35-PY と HLA-B*35-Px による結果の違いは,HIV-1 に対する免疫防御において,同類のクラス I 分子のエピトープ特異性が重要であることを強調するものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1668 - 75. )