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January 18, 2001 Vol. 344 No. 3

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血液悪性腫瘍の患者において HLA 一致血縁者からの末梢血細胞移植と比較した骨髄移植
Transplantation of Bone Marrow versus Peripheral-Blood Cells from HLA-Identical Relatives in Patients with Hematologic Cancers

W.I. BENSINGER AND OTHERS

背景

同種造血細胞移植を受けたレシピエントでは,フィルグラスチム(遺伝子組換え型の顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を併用して動員された末梢血細胞の方が,骨髄よりも速やかに生着する.しかしながら,これらの移植技術による急性および慢性の移植片対宿主病(GVHD)の発生率,全生存率,および無病生存率に対する相対的な効果について,無作為試験で明らかにされていない.

方 法

1996 年 3 月~1999 年 7 月に,血液悪性腫瘍に対する放射線照射の併用あるいは非併用による大量化学療法の治療後の造血の救済を目的として,血液悪性腫瘍の患者 172 例(年齢 12~55 歳)を,HLA(組織適合性抗原)一致血縁者から提供された骨髄またはフィルグラスチム動員末梢血細胞のいずれかの移植に無作為に割り付けた.

結 果

好中球および血小板のいずれの回復も,骨髄よりも末梢血細胞の移植の方で速かった(どちらの比較も p<0.001).移植 100 日目までの grade II,III,または IV の急性移植片対宿主病の累積発症率については,末梢血細胞移植が 64%,骨髄移植が 57%であった(ハザード比,1.21;95%信頼区間,0.81~1.81;p = 0.35).慢性移植片対宿主病の累積発症率についても,末梢血細胞移植が 46%,骨髄移植が 35%であった(ハザード比,1.16;95%信頼区間,0.71~1.90;p = 0.54).2 年全生存確率の推定値については,末梢血細胞移植が 66%,骨髄移植が 54%であった(死亡のハザード比,0.62;95%信頼区間,0.38~1.02;p = 0.06).2 年無病生存率も,末梢血細胞移植が 65%,骨髄移植が 45%であった(再発または死亡のハザード比,0.60; 95%信頼区間,0.38~0.95;p = 0.03).

結 論

血液悪性腫瘍の治療において,放射線照射の併用または非併用による大量化学療法を受けた患者では,造血の救済のための移植で同種末梢血細胞が用いられると,同種骨髄が用いられる場合よりも血球数の回復が速やかで,移植片対宿主病のリスクも上昇しない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 175 - 81. )