The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 21, 2001 Vol. 344 No. 25

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

経皮的冠動脈血行再建術に伴う虚血イベントの予防における血小板糖蛋白 IIb/IIIa 阻害薬の 2 剤,チロフィバンとアブシキシマブとの比較
Comparison of Platelet Glycoprotein IIb/IIIa Inhibitors for Prevention of Ischemic Events with Percutaneous Coronary Revascularization

E.J. TOPOL AND OTHERS

背景

血小板糖蛋白 IIb/IIIa(GP IIb/IIIa)阻害薬として分類される薬剤は,経皮的冠動脈血行再建術の状況下で,30 日目までの死亡または非致死的心筋梗塞の発生を有意に減少させている.われわれは,これらの二つの阻害薬,チロフィバン(tirofiban)とアブシキシマブ(abciximab)とで,安全性または有効性に差があるかどうかを評価した.

方 法

18 ヵ国 149 病院において,二重盲検法のダブルダミーデザインを用いて,ステント挿入を目的とした経皮的冠動脈血行再建術を施行する前に,チロフィバンまたはアブシキシマブのいずれかを投与する治療に患者を無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,試験 30 日目までの死亡,非致死的心筋梗塞,または標的血管に対する緊急血行再建を複合したものとした.なお,試験は,アブシキシマブとの比較においてチロフィバンの非劣性を証明することを目的としてデザインし,統計学的に検出できるようにした.

結 果

主要エンドポイントは,チロフィバン群 2,398 例における発生頻度のほうが,アブシキシマブ群 2,411 例における発生頻度よりも高かった(7.6% 対 6.0%;ハザード比,1.26;片側 95%信頼区間は 1.51 であり,同等性がないことを証明している.両側 95%信頼区間の 1.01~1.57 はアブシキシマブのチロフィバンに対する優越性を示している;p = 0.038).複合エンドポイントの各構成項目についても,効果の程度および方向は類似しており(死亡のハザード比,1.21;心筋梗塞のハザード比,1.27;標的血管の緊急血行再建のハザード比,1.26),心筋梗塞の発生率に認められたチロフィバン群とアブシキシマブ群の差は有意なものであった(6.9% 対 5.4%;p = 0.04).アブシキシマブの相対有益性は,年齢,性別,糖尿病の有無,クロピドグレル(clopidogrel)の前治療の有無には関係なく,一貫して認められた.大出血の合併症や輸血の発生率には有意な差は認められなかったが,チロフィバンでは,小出血のエピソードおよび血小板減少症の発生率が低くなっていた.

結 論

この試験は,アブシキシマブとの比較においてチロフィバンの非劣性を評価することを目的とした試験であったが,得られた結果は,重大な虚血イベントに対するチロフィバンの防御効果がアブシキシマブよりも劣っていたことを証明するものであった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 1888 - 94. )