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January 25, 2001 Vol. 344 No. 4

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バルーン血管形成術後における冠動脈の再狭窄予防としての血管内β線照射療法
Endoluminal Beta-Radiation Therapy for the Prevention of Coronary Restenosis after Balloon Angioplasty

V. VERIN AND OTHERS

背景

バルーン血管形成術によって傷害が生じた動物では,血管の新生内膜の増殖を抑えるのにβ線照射が有効である.しかし,冠動脈血管形成術後の再狭窄を予防し得る最低照射線量はいまだ決定されていない.

方 法

未治療の冠動脈狭窄に対するバルーン血管形成術が成功した 181 例の患者を,手術成功後に,バルーンの中央に設置したイットリウム-90 の線源から放出される 9,12,15,または 18 Gy の放射線を照射する治療に無作為に割り付けた.なお,これらの患者の 28%には,補助療法としてステント留置が必要であった.主要エンドポイントは,放出された照射線量と相関した,治療後 6 ヵ月目の時点における最小血管内径とした.

結 果

追跡調査で冠動脈造影法を実施したときの平均最小血管内径は,9 Gy 群が 1.67 mm,12 Gy 群が 1.76 mm,15 Gy 群が 1.83 mm,18 Gy 群が 1.97 mm であり(9 Gy と 18 Gy の比較で p = 0.06),再狭窄率は,それぞれ 29%,21%,16%,および 15%になった(9 Gy と 18 Gy の比較で p = 0.14).この時点において,患者の 86%には重篤な心イベントは発現していなかった.ステント留置を併用せずにバルーン血管形成術の治療を受けた 130 例の患者の再狭窄率は,それぞれ 28%,17%,16%,および 4%であった(9 Gy と 18 Gy の比較で p = 0.02).これらの患者で照射線量に依存した血管内腔の拡張が認められたのは,それぞれの群の患者の 28%,50%,45%,および 74%であった(9 Gy と 18 Gy の比較で p < 0.001).血行再建術の再施行率は,9 Gy が 18%,18 Gy が 6%であった(p = 0.26).

結 論

冠動脈内β線照射療法は,血管形成術後の再狭窄率を照射線量依存的,有意に低下させる.さらに,照射線量を 18 Gy にすると,バルーン血管形成術の成功後に一般に観察される血管内腔の再狭窄を予防するだけでなく,実際に血管内腔を拡張させる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 243 - 9. )