February 1, 2001 Vol. 344 No. 5
高齢女性における大腿骨頸部骨折のリスクに対するリセドロネートの効果
Effect of Risedronate on the Risk of Hip Fracture in Elderly Women
M.R. MCCLUNG AND OTHERS
リセドロネート(Risedronate)は高齢女性の骨塩密度を増加させるが,大腿骨頸部骨折を予防するかについてはわかっていない.
年齢が 70~79 歳までの骨粗鬆症(大腿骨頸の骨塩密度の T スコアが若年層の成人の平均最高値よりも>4 SD 低値 [-4],あるいは T スコアが -3 よりも低値で,歩行機能の低下や転倒傾向というような骨格系以外の大腿骨頸部骨折の危険因子の保有によって示される骨粗鬆症)の女性 5,445 例と,80 歳以上で骨格系以外の大腿骨頸部骨折の危険因子を一つ以上保有または大腿骨頸の骨塩密度が低下していた(T スコアが -4 よりも低値,または -3 よりも低値で,股関節軸の長さが 11.1 cm 以上)女性 3,886 例を対象として,試験を実施した.これらの女性を,リセドロネート(2.5 mg または 5.0 mg の連日投与)またはプラセボを 3 年間経口投与する治療に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは大腿骨頸部骨折の発生であった.
全体の大腿骨頸部骨折の発生率は,リセドロネートに割り付けられた全女性では 2.8%であったのに対して,プラセボに割り付けられた全女性は 3.9%であった(相対危険度,0.7;95%信頼区間,0.6~0.9; p = 0.02).骨粗鬆症の女性集団(年齢は 70~79 歳)の大腿骨頸部骨折の発生率は,リセドロネートに割り付けられた女性では 1.9%であったのに対して,プラセボに割り付けられた女性は 3.2%であった(相対危険度,0.6;95%信頼区間,0.4~0.9;p = 0.009).骨格系以外の危険因子の保有を第一の基準として抽出した女性集団(年齢は 80 歳以上)では,大腿骨頸部骨折の発生率は,リセドロネートに割り付けられた女性が 4.2%,プラセボに割り付けられた女性が 5.1%であった(p = 0.35).
リセドロネートは,骨粗鬆症が確証された高齢女性においては大腿骨頸部骨折のリスクを有意に低下させるが,低骨塩密度以外の危険因子を第一の基準として抽出した高齢女性の大腿骨頸部骨折のリスクは低下させない.