The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 1, 2001 Vol. 344 No. 5

高地で生活するチベットの小児の栄養と健康状態
Nutritional and Health Status of Tibetan Children Living at High Altitudes

N.S. HARRIS AND OTHERS

背景

高地で生活している小児にはしばしば成長の遅れがみられる.しかし,このような成長遅延は標高に関連したものなのか,それとも別の要因に関連したものなのかは明らかにされていない.

方 法

文化の異なる医療従事者で医療チームを構成して,チベットの生後 0 ~ 84 ヵ月齢の小児 2,078 例を対象に,栄養失調症を示すような人体測定上および臨床上の徴候について評価した.対象とした小児は,中国のチベット自治区内の 50 を超えるさまざまな都市化された地域社会と都市化されていない(遊牧民族,農耕民族,都市周辺部の)地域社会を含む 11 地方に居住していた.これらの小児の身長および体重を米国の小児と比較した.なお,身長と体重は z スコア(年齢および性別で層別した対照集団の中央値からの標準偏差の数値)で表示した.

結 果

身長の平均 z スコアは,生後 12 ヵ月齢までは - 0.5 ~ - 1.6 にあり,年長の小児ではおおむね - 2.0 ~ - 2.4 であった.z スコアで - 2.0 以下と定義した中等度または重度の成長阻害は,全体では,2,078 例中の 1,067 例(51%)に認められた.生後 24 カ月齢以上の小児では,1,556 例中の 871 例(56%)に成長阻害が認められ,そのうちの 380 例(24%)の成長阻害は重度であった(z スコア,- 3.0 以下).また,この月齢層の小児を都市の小児と都市以外の地域の小児で比較すると,都市以外の地域の小児では 1,313 例中の 787 例(60%)に成長阻害が認められたのに対して,都市の小児では 243 例中の 84 例(35%)に成長阻害が認められただけであった.この成長阻害には,くる病,腹部膨満,毛髪の色素脱失,皮膚病変などの臨床病態,および母親の肝炎あるいは甲状腺腫の病歴との関連が認められた.地域社会の種類によって補正すると,この成長阻害には標高との関連は認められなかった.

結 論

チベットの小児は,生後早期に栄養失調症による重度の成長阻害が現れ,罹病率が高い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 344 : 341 - 7. )