重症敗血症に対する遺伝子組換えヒト活性化プロテイン C の有効性と安全性
Efficacy and Safety of Recombinant Human Activated Protein C for Severe Sepsis
G.R. BERNARD AND OTHERS
ドロテレコジン α(Drotrecogin α)(活性型),すなわち遺伝子組換えヒト活性化プロテイン C は,抗血栓,抗炎症,および線溶誘発の特性を有している.先行試験において,活性型のドロテレコジン α が,重症敗血症の患者の凝固および炎症マーカーのレベルを用量依存的に低下させることが確認された.今回報告する第 3 相臨床試験では,活性型ドロテレコジン α による治療が,重症敗血症の患者の全死因死亡率を,低下させるのかどうかについて評価した.
プラセボを対照とした無作為二重盲検多施設共同試験を実施した.この試験には,急性感染症による全身性炎症および臓器不全の患者が組み入れられ,プラセボまたは活性型ドロテレコジン α(24 μg/kg 体重/時間)のいずれかを静注する総投与時間が 96 時間の治療に割付けた.事前に定義しておいた主要エンドポイントはあらゆる死因による死亡で,この評価は静注開始後 28 日目の時点で行った.有害事象,バイタルサインの変化・臨床検査値・微生物学的培養の結果,活性化プロテイン C に対する中和抗体の出現の観察も行った.
全体で,無作為化された患者 1,690 例がこの試験の治療を受けた(プラセボ群が 840 例,活性型ドロテレコジン α 群が 850 例).死亡率は,プラセボ群が 30.8%,活性型ドロテレコジン α 群が 24.7%であった.プロスペクティブに定義しておいた主要解析では,活性型ドロテレコジン α の治療に関連して,死亡の相対危険度が 19.4%(95%信頼区間,6.6~30.5%)低下するとともに,死亡のリスクの絶対値は 6.1%低下した(p = 0.005).しかし,重篤な出血の発生率については,活性型ドロテレコジン α 群のほうがプラセボ群よりも高かった(3.5% 対 2.0%,p = 0.06).
活性型ドロテレコジン α による治療は,重症敗血症の患者の死亡率を有意に低下させるが,出血のリスクの上昇に関連している可能性もある.