October 25, 2001 Vol. 345 No. 17
虚血性脳卒中後のエストロゲン補充療法に関する臨床試験
A Clinical Trail of Estrogen-Replacement Therapy after Ischemic Stroke
C.M. VISCOLI AND OTHERS
観察研究から,エストロゲン補充療法が,女性の脳卒中および死亡のリスクを減少させるかもしれないことが示唆されている.
虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作を発症してまもない閉経後女性(平均年齢,71 歳)664 例を対象として,エストロゲン療法(エストラジオール-17β を 1 日 1 mg 投与)の無作為化二重盲検プラセボ対照試験を実施した.米国の 21 病院からこれらの女性を募集し,脳卒中の再発または死亡の発生について追跡調査を行った.
2.8 年間の平均追跡調査期間中に,脳卒中または死亡は,エストラジオール群では 99 件発生し,プラセボ群では 93 件発生した(エストラジオール群の相対リスク,1.1;95%信頼区間,0.8~1.4).エストロゲン療法は,死亡単独のリスクを低下させず(相対リスク,1.2;95%信頼区間,0.8~1.8),非致死的脳卒中のリスクも低下させなかった(相対リスク,1.0;95%信頼区間,0.7~1.4).エストロゲン療法に無作為に割り付けられた女性では,致死的脳卒中のリスクが高く(相対リスク,2.9;95%信頼区間,0.9~9.0),また非致死的脳卒中は,神経学的障害と機能障害がわずかに高度であることと関連した.
脳血管障害を有する閉経後女性において,エストラジオールは,死亡または脳卒中の再発を減少させることはできない.この療法は,脳血管障害の二次予防として処方すべきではない.