November 22, 2001 Vol. 345 No. 21
非ステロイド性抗炎症薬とアルツハイマー病のリスク
Nonsteroidal Antiinflammatroy Drugs and the Risk of Alzheimer's Disease
B.A. IN'T VELD AND OTHERS
先行試験において,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用が,アルツハイマー病の予防に役立つかもしれないということが示唆されている.しかしながら,これらの試験の結果は一致していない.
研究開始時に痴呆を発症していなかった 55 歳以上の対象者,6,989 例を対象とした前向きの住民ベースのコホート研究において,NSAIDs の使用とアルツハイマー病および血管性痴呆との関連について検討した.アルツハイマー病のリスクは,薬局記録に記録されていた NSAIDs の使用と関連させて推定した.NSAIDs の服用は,相互に重なり合わない 4 つのカテゴリーに定めた:服用なし,短期間服用(累積服用期間≦1 ヵ月間),中期間服用(累積服用期間 1<~<24 ヵ月間),長期間服用(累積服用期間≧24 ヵ月間).補正は,Cox の回帰分析によって,年齢,性別,教育,喫煙状態,およびサリチル酸製剤,ヒスタミン H2-受容体拮抗薬,降圧剤,および血糖降下薬の服用の有無について行った.
6.8 年間の平均追跡調査期間のあいだに,394 例の対象者に痴呆が現れ,そのうちの 293 例がアルツハイマー病,56 例が血管性痴呆,45 例がその他の型の痴呆であった.アルツハイマー病の相対危険度は,NSAIDs の短期間服用の対象者では 0.95(95%信頼区間,0.70~1.29),中期間服用の対象者では 0.83(95%信頼区間,0.62~1.11),長期間服用の対象者では 0.20(95%信頼区間,0.05~0.83)であった.年齢によるリスクの変動は認められなかった.NSAIDs の服用は,血管性痴呆のリスクの低下には関連していなかった.
NSAIDs の長期間服用は,アルツハイマー病の発症を抑える可能性があるが,血管性痴呆は予防しないかもしれない.