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July 26, 2001 Vol. 345 No. 4

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記憶エフェクター T リンパ球の選択的標的化による慢性斑状乾癬の治療
Treatment of Chronic Plaque Psoriasis by Selective Targeting of Memory Effector T Lymphocytes

C.N. ELLIS AND G.G. KRUEGER

背景

乾癬の斑は,CD45RO+ 記憶エフェクター T リンパ球の浸潤を特徴とする.遺伝子組換え蛋白のアレファセプトは,記憶エフェクター T リンパ球の CD2 に結合して,活性化を抑制する.

方 法

多施設共同によるプラセボを対照とした無作為二重盲検試験において,乾癬の治療法としてのアレファセプトを評価した.慢性乾癬の患者 229 例に対して,アレファセプト(体重 1 kg 当り 0.025,0.075,または 0.150 mg)か,プラセボのいずれかを 1 週間に 1 回,12 週間にわたって静脈内投与し,その後 12 週間の追跡調査を行った.治療開始前における乾癬の範囲および重症度指数のスコアの中央値は,すべての治療群で 14~20 であった(0 は乾癬なしを表し,72 は可能性としてありうるもっとも重症の乾癬を示す).

結 果

アレファセプトは忍容性に優れ,免疫原性も認められなかった.乾癬の範囲および重症度指数のスコアの平均低下は,治療後 2 週目には,プラセボ群(21%)よりもアレファセプト群で大きかった(0.025 mg/kg,0.075 mg/kg,および 0.150 mg/kg の各群で,それぞれ 38%,53%,および 53%)(p < 0.001).治療後 12 週目には,アレファセプトのみを受けた患者では,28 例で乾癬の消失あるいはほぼ消失が認められた.プラセボ群では,乾癬が消失あるいはほぼ消失した患者は 3 例であった;この 3 例の患者は,全例が乾癬に対する追加的全身療法を受けていた.アレファセプトは,末梢血液中の記憶エフェクター T リンパ球(CD45RO+)数を減少させ,記憶エフェクター T リンパ球数の減少は乾癬の改善と相関していた.

結 論

アレファセプトの 12 週間の治療は,慢性斑状乾癬の改善に結び付く;治療中止後も臨床反応が持続する患者もいる.アレファセプトは,選択的に CD45RO+ 記憶エフェクター T リンパ球を標的としているので,これらの T リンパ球が乾癬の病因として何らかの役割を担っていることが示唆される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 248 - 55. )