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September 20, 2001 Vol. 345 No. 12

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2 型糖尿病の腎症患者における腎臓および心血管系の転帰に対するロサルタンの影響
Effects of Losartan on Renal and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes and Nephropathy

B.M. BRENNER AND OTHERS

背景

糖尿病性腎症は,末期腎不全の第一位の原因である.レニン–アンジオテンシン系の遮断は,1 型糖尿病の患者では腎疾患の進行を遅らせるが,糖尿病のもっとも一般的な病型である 2 型の患者では同様のデータはない.われわれは,2 型糖尿病の腎症患者において,アンジオテンシン-II 受容体拮抗薬ロサルタンの役割を評価した.

方 法

合計 1,513 例の患者を,ロサルタン(50~100 mg を 1 日 1 回)とプラセボを比較する今回の無作為二重盲検試験に組み入れ,従来の高血圧治療(カルシウムチャネル拮抗薬,利尿薬,α遮断薬,β遮断薬,および中枢神経作用薬)に加えて,平均 3.4 年間にわたって投与した.主要転帰は,血清クレアチニン濃度が試験開始時の値の 2 倍になること,末期腎不全,または死亡の複合であった.副次的エンドポイントには,心血管系の原因による病的状態および死亡,蛋白尿,および腎疾患の進行速度を含めた.

結 果

ロサルタン群では 327 例が主要エンドポイントに達したのに対して,プラセボ群では 359 例が主要エンドポイントに達した(リスクの低下,16%;p=0.02).ロサルタンは,血清クレアチニン濃度が 2 倍になった割合(リスクの低下,25%;p=0.006)と,末期腎不全の発生率(リスクの低下,28%;p=0.002)を低下させたが,死亡率には影響を及ぼさなかった.この有益性は,血圧の変化に起因しうる程度を超えていた.心血管系の原因による病的状態と死亡の複合は 2 群で同程度であったが,心不全による初回入院率は,ロサルタンで有意に低かった(リスクの低下,32%;p=0.005).尿蛋白の程度はロサルタンによって 35%低下した(プラセボとの比較で,p<0.001).

結 論

ロサルタンは,2 型糖尿病の腎症患者に有意な腎臓に対する有益性をもたらし,概して忍容性に優れていた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2001; 345 : 861 - 9. )