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April 4, 2002 Vol. 346 No. 14

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スリンダクによる家族性腺腫性ポリポーシスの化学的一次予防
Primary Chemoprevention of Familial Adenomatous Polyposis with Sulindac

F.M. GIARDIELLO AND OTHERS

背景

家族性腺腫性ポリポーシスは,大腸腺腫様ポリポーシス遺伝子における生殖細胞系変異によって引き起され,何百という結腸直腸腺腫の発生と最終的には結腸直腸癌の発生を特徴としている.非ステロイド性抗炎症薬は,腺腫を消退させうるが,これらの薬物が腺腫を予防できるかどうかについては明らかではない.

方 法

われわれは,遺伝子型的には家族性腺腫性ポリポーシスを保因しているが,表現型的には現われていない若年被検者 41 例(年齢範囲,8~25 歳)を対象とした無作為二重盲検プラセボ対照試験を実施した.被検者には,75 mg あるいは 150 mg のスリンダクまたは外観が同一のプラセボ錠剤を 48 ヵ月間,1 日 2 回経口で投与した.新たな腺腫の数と大きさおよび治療の副作用は,4 年間 4 ヵ月ごとに評価し,また,5 つの主要なプロスタグランジンの量を,正常にみえる結腸直腸粘膜の生検検体で経時的に測定した.

結 果

4 年間の治療後,平均服薬順守率は,スリンダク群において 76%を超え,粘膜におけるプロスタグランジン量はプラセボ群より実薬群においてより低かった.試験経過中に,腺腫は,スリンダク群において被検者 21 例中 9 例(43%)で,プラセボ群において被検者 20 例中 11 例(55%)で発生した(P=0.54).ポリープの平均の数(P=0.69)や大きさ(P=0.17)に関して両群間で有意な差はみられなかった.線形経時的手法を含む評価法によると,スリンダクは腺腫の発生を遅らせなかった.

結 論

標準用量のスリンダクは,家族性腺腫性ポリポーシスの被検者において腺腫発生を予防しなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1054 - 9. )