HIV 感染患者の研究への参加と実験的治療の利用
Participation in Research and Access to Experimental Treatments by HIV-Infected Patients
A.L. GIFFORD AND OTHERS
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者に関する研究では,少数民族や女性の参加が十分ではないとの懸念があるが,既存のデータは結論を導けるほど決定的なものではない.
HIV 感染に対する投薬試験への参加者と非参加者の特徴ならびに患者が実験的治療を利用したかどうかを検討するために,「HIV に関連する費用およびサービスの利用に関する研究」から得られた全米の代表的なデータを利用した.米国 48 州で医療を受けている HIV 感染が確認された成人全 231,400 例を代表する確率標本 2,864 例に対して,1996~98 年のあいだに 3 度照会し,HIV に対する投薬の臨床研究への参加および,実験的治療の過去の受療歴に関して質問した.
HIV 感染に対する医療を受けている成人の 14%が投薬試験や研究に参加し,24%が実験的投薬を受けたことがあり,8%が実験的治療を受けようと試みたが実現しなかったと推定された.多変量モデルによると,非ヒスパニック系の黒人とヒスパニック系の人は,非ヒスパニック系の白人よりも試験に参加する可能性が小さく(非ヒスパニック系の黒人における治験参加のオッズ比,0.50 [95%信頼区間,0.28~0.91];ヒスパニック系の人におけるオッズ比,0.58 [95%信頼区間,0.37~0.93]),実験的投薬を受けた可能性が低かった(オッズ比,各 0.41 [95%信頼区間,0.32~0.54] および 0.56 [95%信頼区間,0.41~0.78]).民間の健康維持機構(HMO)で医療を受けている患者は,出来高払い制の保険の患者よりも試験に参加した可能性は小さかった(オッズ比,0.43 [95%信頼区間,0.21~0.88]).女性は,研究試験において少ないことはなく,実験的治療を受ける可能性も同程度であった.
HIV 感染患者において,研究試験への参加と実験的治療の利用は,人種や民族集団および健康保険の種類に影響される.