先天梅毒における中枢神経系感染
Central Nervous System Infection in Congenital Syphilis
I.C. MICHELOW AND OTHERS
中枢神経系が梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)に感染した乳児を同定することは,依然として必要性のある研究である.
われわれは,梅毒を有する母親から生まれた乳児における中枢神経系の T. pallidum 感染を検出するため,脳脊髄液のウサギ感染性試験を行った.結果を臨床所見,X 線検査,および従来の臨床検査(血清および脳脊髄液の IgM 免疫ブロット法,血清または血液と脳脊髄液のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法,血清または血液のウサギ感染性試験)の結果と比較した.
ウサギ感染性試験により乳児 148 例中 19 例の脳脊髄液でスピロヘータが検出された.ウサギ感染性試験用に脳脊髄液を採取する以前に乳児が抗菌薬治療を受けたか否かは,陰性試験の結果と関連していた(P=0.001).以前に抗菌薬治療を受けていない乳児 76 例中,17 例(22%)の脳脊髄液からスピロヘータが検出された.この 17 例は,臨床所見,検査結果,または X 線の結果になんらかの異常がみられた乳児の 41%(39 例中 16 例),身体所見で先天梅毒と矛盾しない異常所見を示した乳児の 60%(25 例中 15 例),血清,血液または脳脊髄液の IgM 免疫ブロット法または PCR 法,あるいは血清または血液のウサギ感染性試験の結果が陽性である乳児の 41%(41 例中 17 例)を含んでいた.臨床所見が正常な乳児では,1 例のみが脳脊髄液のウサギ感染性試験で陽性反応を示した.総合すると,中枢神経系の感染は,血清の IgM 免疫ブロット法または血清または血液の PCR 法でもっともよく予測された.
中枢神経系が T. pallidum に感染した乳児のほとんどは,身体所見,従来の臨床検査および X 線検査より同定できる.しかし,感染した乳児をすべて同定するには,IgM 免疫ブロット法および PCR 法を含む付加的な検査が必要である.