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June 13, 2002 Vol. 346 No. 24

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洞結節機能不全に対する心室ペーシングまたは両室ペーシング
Ventricular Pacing or Dual-Chamber Pacing for Sinus-Node Dysfunction

G.A. LAMAS AND OTHERS

背景

両室(心房心室)ペーシングおよび一室(心室)ペーシングは,臨床的に重大な徐脈を引き起す洞結節機能不全に対する治療法の選択肢である.しかし,いずれのペーシングがよりよい転帰をもたらすかは不明である.

方 法

洞結節機能不全患者,計 2,010 例を両室ペーシング(1,014 例)または心室ペーシング(996 例)に無作為に割り付け,中央値 33.1 ヵ月のあいだ追跡した.主要エンドポイントは全死因死亡または非致死性脳卒中とした.副次的エンドポイントは,死亡・脳卒中・心不全による入院の組合せ,心房細動,心不全スコア,ペースメーカー症候群,QOL などとした.

結 果

主要エンドポイントの発生率には,両室ペーシング群(21.5%)と心室ペーシング群(23.0%,P=0.48)とのあいだに有意差は認められなかった.両室ペーシング群患者のほうが,心房細動のリスクが低く(ハザード比 0.79;95%信頼区間 0.66~0.94;P=0.008),心不全スコアが良好であった(P<0.001).心不全による入院率と,死亡・発作・心不全による入院の複合発生率には,補正なしの解析では有意差は認められなかったが,補正した解析では境界線上の有意差が認められた.両室ペーシングでは QOL に,心室ペーシングに比べわずかではあるが,無視できない上昇が認められた.

結 論

洞結節の機能不全において,両室ペーシングは,心室ペーシングに比べ,脳卒中のない生存を改善しない.しかし,両室ペーシングは心房性細動のリスク,および心不全の徴候・症状を減らし,QOL をわずかに改善する.全体として,両室ペーシングは心室ペーシングと比べ有意な改善を与える.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2002; 346 : 1854 - 62. )